世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年8月20日

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 もう一つ見逃してはならないのは、英国のCPTPPへの参加検討の表明は、英国の「アジア太平洋への軸足移動」とでも呼べる動きの一環をなしている点である。前出『白書』では、CPTPPへの参加検討は、米国、豪州、ニュージーランドとのFTA追求と同じ項目に書き込まれている。フォックス国際貿易相は「我々は、世界で最も経済成長の速い地域におけるCPTPPのような協定の中心に英国を位置づけることを求めている。米国、ニュージーランド、豪州との貿易協定を求めるのも同じ理由からだ」と述べている。

 英国は、既に、日本や豪州との安全保障上の協力強化を加速させ、フランス海軍と南シナ海を航行(「航行の自由作戦」と呼ぶに値するものであったかはともかくとして)するなど、アジア太平洋における軍事的プレゼンスを強めようとしている。CPTPPへの参加検討、米国、ニュージーランド、豪州との貿易協定の追求は、もちろん、EU離脱後の英国の自立した通商政策の追求であるが、それだけでなく英国の「アジア太平洋への軸足移動」の文脈で理解する必要がある。

 英国のCPTPPへの参加については、英国がEU離脱後に目指しているEUとの「モノの自由貿易圏」との兼ね合いで、困難があるのではないかとの指摘もある。EUは英国に対し「いいとこ取り」は許さないとして厳しく臨んでいる。この点、EUとの経済連携協定に署名している日本は、機会があれば、EUに英国に対する度量を示すよう求め得る立場にあると言えるかもしれない。
 

  
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