世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年10月5日

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 上記9月22日の国務省のプレス・ステートメントは、米国の立場を表現している。「朝鮮半島」ではなく、「北朝鮮」の非核化のために、それが実現するまで国連安保理による対北朝鮮制裁決議を履行し続けるというものである。

 そして、それに協力してくれている国として、日本、豪州、ニュージーランド、カナダ、フランス及び英国に言及している。これら6か国は米国にとって、同盟国である。たとえ、米加間にNAFTAを巡る争いがあったとしても、安全保障上、同盟国であることには変わりない。

 一方、北朝鮮の非核化に関わる中国、ロシア、韓国には言及がない。中国は、国連安保理決議順守を言うが、決議の実施を厳格に行っているとはいいがたい。ロシアも最近、北朝鮮に瀬取りの形で石油を輸出していたことが国連安保理の制裁順守監視パネルの報告書で指摘されている。韓国は、南北首脳会談に見られるように、南北関係の改善を重視し、南北の経済関係も進めようとしている。従って、これら諸国が米国と協働歩調を取ることは考え難く、北制裁レジームは侵食されてきていると判断される。

 米国務省は、南北首脳会談で朝鮮半島が友好ムードにあり、かつ、国連総会がニューヨークで始まり、米韓首脳会談、日米首脳会談などで北朝鮮問題が取り上げられることが予想される中で、対北朝鮮制裁が侵食されている傾向に危機感を持ち,米国の基本的態度をはっきりと国際社会に示しておきたかったのだろう。しかしそういう米国の努力がどれほどの効果を持つか、第2回目の米朝会談が取り沙汰される中、疑問がある。

  
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