2024年4月27日(土)

前向きに読み解く経済の裏側

2018年11月20日

自分に関する情報が最も歪んでいるかも

 世の中に関する情報よりも、自分に関する情報の方が一層歪んでいる可能性には要注意です。サラリーマンの半分以上は自分の評価を「平均以上」と考えているそうですが、そんなはずはありませんから(笑)。

 特に、管理職になったり「先生」と呼ばれる職業に就いたりすると、他人が自分を批判しなくなりますから、要注意です。筆者自身への自戒の念を込めて、ですが。

済んでしまったこと、払ってしまった金は戻らない

 済んでしまったこと、払ってしまった金は戻りません。それより、今後の人生を楽しく生きましょう。2000円払って買った本を読み始めたら、とてもつまらないことがわかりました。しかし、本を捨ててしまうと2000円を損してしまうから、最後まで読む、という人が多いようです。その結果、2000円と読んだ時間を損するわけですね。

 払ってしまった2000円は、本を読んでも読まなくても戻って来ません。それなら、未来志向で「つまらない本を無理して読むか、散歩に行くか、どちらが私にとって幸せだろう」と考えましょう。

 「買った株が値下がりしたけれど、売るべきか」と悩む必要はありません。買った時の値段を忘て、「今から株式投資を始めるとして、今の値段でこの株を買うか」だけを考えれば良いのです。

 工場が半分完成した段階で、ライバルが画期的な新商品を発売したとします。その工場を完成しても、稼働しないかもしれません。それでも「工事代金を半分支払ってしまったから」という理由で工事を完成させる会社が多いようです。その結果、工事代金全額を損することになるのですが(笑)。

他の選択肢の方が良いかも

 学生サークルが学園祭で焼き鳥屋を開き、少額の利益を得て喜んでいるとします。「学園祭に出店せずに、街の焼き鳥屋でバイトをすれば、それより稼げたかも」という事も考えて来年の出店を検討しましょう。

 零細商店が少額の利益を稼いでいるとします。店を閉じてアルバイトに出かければ、今より稼げるかもしれません。

 社内のエリートを集めた戦略部門が小幅の利益を稼いでいるとします。「せっかくエリートを集めたのだから、もっと稼げ」と叱咤激励する前に、その部門を解散してエリートたちを別の部署に異動させる選択肢を検討してみましょう。

 こうしたことは、赤字なら容易に思いつくのですが、かえって黒字であるがゆえに正しい選択肢を思いつかない、ということが多いようです。気をつけたいですね。

小さな確率は実際より大きく感じる

 「確率0.01%で死ぬ危険な仕事があります。いくら払えば読者はそれを引き受けてくれますか」と聞かれた場合と、「あなたの仕事は、確率3%で死ぬ危険な仕事です。次は確率3.01%で死ぬ仕事を頼みたいのですが、給料をいくら上乗せすれば引き受けてくれますか」と聞かれた場合、前者の方に大きな金額を答える人が多いようです。

 ゼロとそれ以外は大きな違いだけれど、3と3.01は誤差の範囲だから、ということなのでしょうが、これによって人は「宝くじを買えば当たるかもしれない」と思い、「飛行機は怖い」と思い、「保険に加入しなければ」と思うわけですね。

 得る場合と失う場合で感じる重大さが違う、ということもあるようです。100円儲かる嬉しさより100円損する悔しさの方が大きいから賭け事や株式投資はやらない、という人は多いですから。

 上記例で、「あなたは確率0.01%で死ぬ病気に罹っています。直す薬がありますが、いくらなら買いますか」と聞かれたら、上記の質問と同じ金額を答えますか。同じ命の0.01%の値段を聞かれているのですが。

 以上、いろいろと人間が間違えた選択をする理由について考えてきました。間違えないように気をつけるのは容易なことではなさそうですが、今日のお話が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

  
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