海野素央の Love Trumps Hate

2019年6月5日

»著者プロフィール
著者
閉じる

海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

移民強硬派の声

「トランプ王国」の看板を掲げるトランプ支持者(筆者撮影@ペンシルべニア州モントゥアズビレ)

 トランプ大統領は移民政策に関して、市民権を取得した移民が家族や親せきを米国に呼び寄せることができる「連鎖移民」の制度に反対しています。その代わりに、移民希望者の能力やスキルといったメリットをポイント化して受け入れを決める、いわゆるメリットに基づいった移民政策を唱えています。

 筆者が集会開始11時間前に会場に到着すると、ある白人男性(24)が簡易椅子に座って開門を待っていました。このエンジニアの男性はトランプ大統領の移民政策について次のように語りました。

 「私は連鎖移民に絶対反対です。メリットに基づいた移民政策にも反対です。カナダはメリットによる移民政策を導入しています。バンクーバーを見てください。まるで中国人の植民地です。私は人種や民族の多様性を信じていません。多様性は人種間の衝突を引き起こします」

 彼は文化的多様性を完全否定し、「自民族中心主義」賛成の立場をとっていました。

 「会社から解雇されると困るから、記事を書くときは匿名で書いてくれよ」

 彼は本音で述べた後、筆者にこう話しかけました。

 要するに、トランプ支持者は中国とメキシコは米国の雇用を潰し、両国からの移民は米国に対して愛国心がなく、白人文化を受容しない「侵略者」として捉えているのです。彼らは侵略者と共生及び融合する意思はまったくありません。従って、トランプ大統領の「分断」を図る選挙戦略は白人労働者、キリスト教右派並びに白人至上主義者を含めた支持基盤に対して効果的であるということになります。

関連記事

新着記事

»もっと見る