田部康喜のTV読本

2019年7月20日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

VeraPetruk/iStock / Getty Images Plus

 連続テレビ小説「なつぞら」は、第16週「なつよ、恋の季節が来た」(15日~20日)に至って、ヒロイン・奥原なつを演じる広瀬すずが、成長を遂げる物語は、後編に入って快調なテンポで進んでいる。いうまでもなく、広瀬の代表作となるだろう。

 ドラマは、なつ(広瀬)の青春を描いて、「イケメン」の男優たちがなつの人生の岐路にかかわってきた。

開拓の血を受け継ぐ戦災孤児のなつ

 北海道を舞台にした前編のなかで、亡き父の戦友である柴田剛男(藤木直人)によって、東京の焼け野原の戦災孤児(少女時代・粟野咲莉)から「柴田牧場」の家族に迎えられた。家族の一員として、剛男を父に、富士子(松嶋菜々子)を母、同い年の長女・夕見子(福地桃子)、次女の明美(平尾奈々花)を妹として暮らす。

 開拓第一世代の祖父・柴田泰樹(草刈正雄)を敬愛して、酪農を継ごうと、農業高校に進学する。泰樹は、すずが、柴田家に暮らす条件として、早朝から牛の世話をするように命じた。すずの働きぶりをねぎらおうと、十勝でアイスクリームを食べさせながら語りかける。

「ちゃんと働けば、誰かが助けてくれる。ここで生きろ」

 絵が描くことが好きな親友の山田天陽(吉沢亮)との触れ合いのなかで、なつも、絵を描くのが好きになる。天陽には、東京の美術大学で学んでいる兄の陽平(犬飼貴丈)がいる。天陽となつは、友情と淡い恋心の間でお互いにひかれあう。

 なつには、東京で別れて行方がわからなくなっている、兄の咲太郎(岡田将生)と妹の千遥(清原果耶)がいる。富士子の提案で上京した、なつは、しっかりとした職業を持たない咲太郎と出会う。

 十勝の映画館で、ディズニーのアニメーション映画「ファンタジア」を観た、すずは、漫画映画づくりにかかわる憧れを抱く。上京した折に、天陽の兄の陽平(犬飼)が働いていた、「東洋動画スタジオ」の見学に連れてもらった、すずは、その思いをさらに募らせる。

 前編の名場面のひとつは、すずが祖父の泰樹(草刈)に自分の夢を語り、上京したいと告げたシーンである。

 泰樹は「よういった。さすが、ワシの孫じゃ。東京を耕してこい。東京を開拓してこい」というのだった。

 高校を卒業した、すずは、東洋動画スタジオの試験を受け、一度は落ちるが、再挑戦で下絵に色を塗る仕事から始める。才能が認められて、動画の原画を描く部署に異動し、さらには短編ながら、制作を任せられるアニメーターになった。

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