シルバー民主主義に泣く若者

2012年9月27日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

中部圏社会経済研究所研究部長

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。12年4月より現職。*記事はすべて筆者の個人的見解であって、筆者の所属組織とは無関係です。

将来世代の生涯純負担は現在世代の2倍程度

 (b)将来世代

 2011年度以降生まれてくる将来世代の生涯純負担について見てみると7,541万円であり、2010年度の0歳世代に比べて、4,878万円程度多く負担しなければならないことが分かる。0歳世代と将来世代の負担の違いはまさに一般政府の債務総額に起因する。また、世代間不均衡率は183.2%程度であり、将来世代は現在世代の実に2倍程度の生涯純負担を負うこととなる。

 このような世代間不均衡の大きさから、現在の歳出歳入構造は、今後予定されている改革・施策を考慮しても、将来世代に対してより多くの負担を課すものであると言える。少子高齢化が急速に進行する中、現在世代と将来世代の間で受益と負担の程度が異なるという意味での世代間格差は著しく、将来世代から現在世代へ大幅な所得再分配が生じていると指摘できる。

(表3) 世代間格差の国際比較
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 このような将来世代へのつけ回しがいかに大きいかは、計測年次が異なるため直接の比較は困難であるが、Auerbach, Kotlikoff and Leibfritz (1999)における国際比較を見れば一目瞭然である(表3)。

 すなわち、同研究によれば、教育支出が政府消費として扱われるケースAの世代間不均衡で見ると、アメリカ51.1%、ドイツ92.0%、イタリア131.8%、フランス47.1%、スウェーデン-22.2%、ノルウェー63.2%などとなっている。スウェーデンの世代間不均衡の大きさからは、社会保障制度の充実と将来世代への負担の先送りの間には直接の関連がないことが分かる。

持続可能性ギャップとは?

 これまで見てきた世代間格差の大きさは、簡単に言うと、現在の財政運営のままで、政府財政を破綻させないために必要となる負担を、現在世代と将来世代のどちらがどれだけ負担するのかということから生じているという点で、実は財政の持続可能性と表裏一体の関係にある。つまり、世代間不均衡が大きいということは、現在世代ではなく将来世代の負担が大きいことを意味し、それは財政収支不均衡額のうち将来につけ回される部分が多いということであるので、結果として財政の持続可能性にはマイナスの影響を与えてしまう。

 ここでは、世代会計を推計する過程で得られる一般政府レベルの財政収支の不均衡額について見てみる。この財政収支不均衡額を推計基準年のGDPで除したものを持続可能性ギャップと呼んでいる。この持続可能性ギャップはわれわれが普段メディアの報道等で目にする政府債務残高対GDP比にとてもよく似ているが、実際には、過去分だけでなく将来分の債務も含んでいる点で異なっている。

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