チャイナ・ウォッチャーの視点

2012年12月18日

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 それを予兆しているかのように、12月13日、日中間で未曾有の緊急事態が生じた。尖閣諸島の魚釣島付近で中国国家海洋局所属のプロペラ機1機が領空侵犯した。中国機による日本の領空侵犯は自衛隊が統計を取り始めた1958年以来初めてである。習政権が樹立してから1カ月余、尖閣諸島やその付近の海域で日本側はいかなる単独行動も取っていないにもかかわらず、中国側は一方的な挑発行為を執拗に繰り返してきた。その中で習政権はとうとう、日本領空への初めての侵犯に踏み切った。

 翌日の14日、中国の楊潔チ外相は人民日報に寄稿して習政権の対外政策を語った中、日本側の尖閣国有化に関しては「断固として日本との闘争を行う」と明言した。日中国交回復して40年、中国の外交責任者の口から「日本と闘争する」という激しい言葉が吐かれるのはおそらく初めてであろう。

 一国の外相は外交上の最低限の礼儀や配慮も顧みずにして、「闘争する」という赤裸々な「対敵国用語」を使い始めたこと自体、習政権がすでに実質上の「対日敵視政策」にかじを切ったことの証拠であろう。同じ日に、人民日報系の環球時報は社説を掲載して尖閣へ向かって中国軍機を派遣するなどの「あらゆる行動をとる権利を保留する」と言って露骨な軍事恫喝を行った。

 どうやら習近平政権は本気で、日本との「尖閣紛争」を徹底的に戦い抜く腹づもりなのだ。日本にとっての本格的な「尖閣危機」がいよいよ迫ってくるのである。

[特集] 習近平と中国 そして、今後の日中関係は?


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