世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年5月3日

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 ヘーゲル米国防長官は、4月3日に行った、国防大学での講演で、「国防費の強制削減は、アメリカの国防態勢に深刻な影響をもたらすであろう。それで良いとは言わないが、その現実に立ち向かわねばならない。過去にも、大不況時や、ベトナム戦争後など国防費が削減された時期もあった。その時の教訓も踏まえて、国防態勢を強化しよう」と述べています。

 すなわち、諸兄はこれから国防の重責を担うのであるが、常に次の3つのことを考えて欲しい。1つは、それが国家の安全保障に役立つか、2つは、それがアメリカの政治、経済、価値観におけるアメリカの戦略に資するかどうか、3つは、それが兵員及び家族の犠牲に価するか、である。

 さて、米国はアフガン・イラクの10年の戦争から立ち直って来たが、まだまだ、中東や北アフリカの過激主義者の脅威はあり、武器の拡散やサイバー攻撃などの危険は続いている。

 国防省は、国防費の減額は不可避と考えて、新しい戦略的環境に即応した経費の削減を実施して来た。ところが、財政の必要と政治的な行き詰まりのため、それより遙かに深い、突然の削減に見舞われている。予算の強制削減(Sequester)は、軍の運用と近代化に深刻な影響を及ぼし、軍の即応態勢にも影響している。

 Sequesterによる国防費削減、それによる国防力の減退をいつまでも受け入れるとは言わないが、希望的観測だけに頼ることも出来ない。

 そうなると体制の改編という困難な問題を考えねばならない。それは、軍人とシビリアンとの割合、将校と兵員との割合、将軍の数など、トップ・へヴィーの問題、どこまで軍人を防衛業務でない、民間、経済業務に従事させるか、などである。その抜本的解決は不可能に近いかもいれないが、なんとかせざるを得ない。

 また、われわれの同盟国やパートナーからどれだけが期待できるかも考えねばならない。

 しかし、米国は、常に新たな環境に適応し、将来に残る投資をしてきた。大恐慌のあった戦間期にもそうであったし、朝鮮戦争後には、アイゼンハワーが科学技術振興を行い、ベトナム戦争後には、F-16が開発され、冷戦後においても、GPSの開発などが行われた。

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