チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年4月1日

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 実際、たとえば韓国の視点に立って冷静に考えてみれば、本来彼らは中国と連携して日本と対立しなければならないような理由は何一つないし、「反日」によって達成できる中韓両国の共通した国益があるわけでもない。冷徹な国際政治の力学からすれば、韓国は、反日イデオロギーを振りかざして日本の対中国包囲網外交を打ち破ろうとする中国の思惑に単に利用され翻弄されているように見えるのである。

日米韓首脳会談の内容は北朝鮮問題

 中韓両国が行った歴史固執・イデオロギー先行の首脳会談と比べれば、その2日後に開催された日米韓首脳会談はまったく異なった趣を呈している。

 周知のように、会談の開催を提案しその実現において主導的な役割を果たしたのは米国のオバマ政権である。オバマ政権が会談を渋る韓国側を促して半ば強引に日程の設定を進めたからこそ、3カ国の首脳会談が実現されたわけである。

 そして、オバマ政権がそれほど苦心してなんとか会談の実現にこぎ着けたかった最大の目的は、迫りくる北朝鮮による核武装の脅威への対処であろう。

 つまり、3カ国の連携強化を図ること(あるいは演出すること)によって、北朝鮮の冒険的行動を封じ込めるのが最大の狙いである。言ってみれば、中国と韓国が「歴史問題」を持ち出して百年も前の過去のことを執拗に大騒ぎしている中、米国の唯一の関心事はまさに現実の政治問題にあった。日韓の間の「つまらない歴史論争」を横目にして、米国の目線はあくまでも、東アジア全体の抱える「いまここにある危機」にどう対処するか、という一点に集中しているのである。

 そして米国の思惑通り、オランダでの日米韓首脳会談の内容は終始一貫して、北朝鮮の核武装とミサイル問題に集中し、それに対処するための3カ国連携を「再確認」したことが会談の最大の成果となっている。一方、日韓両国間の「歴史問題」は会談から完全に排除されたことも注目されている。そういう意味では、米国の主導下で行われたこの3カ国首脳会談の実現は、アメリカの進める危機対処の現実主義外交の結果であるとも言えよう。

 おそらくアメリカは今後も、東アジア諸国間のいわゆる「歴史認識論争」には一切関与せず、ただひたすら現実問題の対処に着眼点をおくアジア外交を進めていくこととなろう。その際、実は北朝鮮の核武装問題以外に、あるいはそれ以上に、アメリカとして全力を挙げて対処しなければならない重大な問題がもう一つある。それはすなわち、東シナ海と南シナ海という二つの海への中国の覇権主義的進出である。

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