炎上?感動?ネットで話題のニュース

2014年12月26日

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多田慎介 (ただ・しんすけ)

ライター

1983年、石川県金沢市生まれ。大学中退後に求人広告代理店へアルバイト入社し、転職サイトなどを扱う法人営業職や営業マネジャー職を経験。編集プロダクション勤務を経て、2015年よりフリーランスとして活動。個人の働き方やキャリア形成、企業の採用コンテンツ、マーケティング手法などをテーマに取材・執筆を重ねている。

「ポジティブな社畜」も存在する!

 その少し前、12月上旬にJR新橋駅に掲示されたポスターが、逆の観点から話題となっていた。
http://matome.naver.jp/odai/2141837845503610501

 残業応援系ニュースメディアを標榜する「ハードワーカーズ」のPRポスターだ。「行こうぜ、日付変更線の向こう側」「折り返します、何度でも」「俺たちが定時帰宅したら日本の夜が暗くなるだろ」など、刺激的なコピーが躍る。サラリーマンの聖地と呼ばれる新橋駅を選び、日夜働く「社畜」を応援する目的で掲示したのだという。これに対しては、「かっこいい」「泣けるメッセージ。元気出たよ!」など、好意的に拡散するメッセージが目立った。

 自ら進んでハードワークをしているわけではないけれど、人影もまばらになった深夜のオフィスに居残って働く自分を褒めてあげたくなるような、とにかく無心で動いた後の充実感を称えてあげたくなるような、そんな感情からの拡散なのだろうか。こうした場合には「社畜」という言葉が(多少自虐的ではあるものの)ポジティブに使われるから面白い。会社の都合に振り回され、社内外で頭を下げながら必死で仕事に食らいついていく姿を自嘲するのは、自らの頑張りをアピールすることでもあるのだ。

 「社畜」という言葉をポジティブに使うならば、前述のリニア新幹線はまさに夢の超特急なのかもしれない。人間ひとりの力では越えられない時間の壁が、いかに低くなることか。ハードワーカーズのポスターにリニア新幹線という題材が使われたら、どんなコピーが生まれるのだろう。

雇われる側の意識を高めることこそ必要

 そんなことを考えながら2014年を振り返ると、ネット上でブラック企業という言葉を見ない日はなかったように思う。労働関連法規上、明らかな問題があるような職場に対しては厳しい目が注がれ、簡単に晒される時代になった。ただでさえ人手が不足している状況に追い打ちをかけ、トップシェアを誇る飲食チェーンが大幅に店舗を閉鎖するような事態にも陥った。「雇う側」「雇われる側」の力関係の中では抗えなかったことにも、ソーシャルという第3者が介入して力を与えることができる。長い目で見れば、あからさまなブラック企業は存続できなくなるだろう。

 一方で、これからは働き手としての意識の問われ方が変わってくるように思う。リニア新幹線の話題にマジレスをするなら、コミュニケーションツールを駆使しても難しい場合は、会社の命令であれ自己判断であれ、東京-名古屋を1日2往復すればよいだろう。そこで過剰労働となった時間を、代休やフレックスといった制度で消化するところまでが仕事のはず。もちろん健康的に働き続けることは大前提で、毎日のように始発から終電までリニアで往復するようならば問題だと思うが、そんな企業が実際にどれほどあるだろうか。何も方法論を持たずに、会社が従業員を守るのは当たり前だと考える方が、よほど「社畜」化していくことにつながるのではないだろうか。

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