世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年12月3日

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 10月28日付のウォールストリート・ジャーナルに、米ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン上席研究員が、「オバマの軍事政策:脅威が増える中、縮小」との論説を書き、米陸軍兵員数の削減を批判しています。

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 すなわち、オバマ政権の地上軍に関する政策は「大規模で長期の安定化作戦」のための規模はいらない、と言うものである。「大規模で長期の安定化作戦」は反乱鎮圧、国家建設、大規模テロ作戦、大規模救援活動など、諸任務を含む。強制予算削減で軍事予算は減っているが、オバマの政策は他の軍種は削減せず、地上軍は減らすというものである。

 イラク、アフガン戦争後、オバマ大統領が手の汚れる地上作戦を避けようとして、無人機、コマンド攻撃などの特殊作戦に頼ろうとするのはわかるが、長期的な兵力計画として大規模任務を実施する能力をなくすのは危険である。

 この方針について心配すべき理由は多い。国防省は2013年の政府閉鎖危機の時、陸軍を38万にすることを考えた。これはレーガン時代の半分、ブッシュ大統領、オバマ政権初期より20万少なく、クリントン時代より10万少ない。にもかかわらず、海軍の前作戦部長ラフヘッドは30万以下の陸軍を主張している。これでは世界の10位以内にとどまるかどうかである。海兵隊18万を加えても、米地上軍は中国、北朝鮮、インドより小さい。

 こういう「小さくて十分」思考は米国のロマンティックな過去の反映である。南北戦争まで米陸軍は1万5千人ほどで、南北戦争後、そのレベルに戻った。20世紀初頭、米陸軍は世界で20位に入るかどうかであった。第2次大戦後も、米国は急速に動員解除し、1950年の朝鮮戦争では北朝鮮軍と戦うのに苦労した。ベトナム戦争では米国は戦争の本質を忘れ、反乱鎮圧に戦車、大砲、B-52、ナパーム弾を過剰使用した。

 ベトナム後、手の汚れる地上戦への反発と1990~91年の砂漠の嵐作戦での精密打撃技術重視が伝統的地上戦はもうないと考えさせた。その結果、イラク、アフガンで反乱鎮圧作戦では不意を突かれた。

 国防費が減り、中国が台頭し、ハイテクのフロンティアが広がる中、サイバー作戦、ハイテク航空・海上作戦、ロボット、宇宙技術、特殊部隊に頼る誘惑がある。これらは重要だが、すべてをそれに賭けるのでは不十分だと歴史は示している。

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