変革強いられるサウジアラビア
原油価格急落で窮地に


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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フィナンシャル・タイムズ紙記者のRoula Khalafらが、11月29日付同紙掲載の解説記事にて、油価の大幅下落でサウジ経済は全面的に見直されようとしており、大幅な変化によってサウジは未知の領域に入る、と解説しています。

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原油価格急落で巨額赤字

 すなわち、サウジの王宮でサウジ経済の全面的見直し計画が完成しようとしている。

 サルマン新国王はサウジの新しい時代を管理するという大きな挑戦に立ち向かっている。2014年6月以来、油価が半減したためサウジは巨額の赤字に見舞われている。さる政府関係者は「油価の崩壊は警鐘である。サウジは石油に頼り過ぎていたため悪い慣習が長年続いてきた」と述べた。

 サルマン国王、ナイフ皇太子、ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子の新指導体制のうちで、サウジ人は、権力は副皇太子に集中していると見ている。サルマン副皇太子は経済再編のチームの指導者であり、外交で国王の代理としてプーチンに2度、オバマに1度会っている。サウジで最も強力な王宮管理の責任者でもある。

 サウジ新政府は、油価の暴落はサウジの財政にメスを入れ経済を多角化する機会と見るべきである、と考えている。副皇太子は新経済政策とイエメンでの戦争の責任者であり、成否が問われている。

 経済については、政府は公共支出を4分の1削減し、国債の発行で270億ドルを調達し、2016年には海外での国債販売を考えている。歳出は800億ドルの削減で2670億ドルに減り、来年はさらに緊縮を実施し、2290~2400億ドルにするという。

 「歳出は完全に制御不能であったが、油価の下落であらゆる手段を考えている」とある官吏は言った。GDPの13.2%にも及ぶエネルギー補助金の削減、政府の料金や消費税など石油以外の収入の増加が考えられている。

国民も望む経済変革

 これまでとは大幅に異なるサウジ経済を実現することは、圧倒的に若いサウジ国民の要望に沿うものである。人口の60%(注:70%という説もある)は30歳以下である。石油資源からも利益を得つつ、石油資源のみに頼らないサウジは国民の望むところである。

 しかし王国の直面する最初の試練は計画の実施である。サウジの実業家たちには、かつて油価が下落したとき経済の多角化が約束されたが、油価が持ち直すと約束が破棄されたという苦々しい記憶がある。

 サウジはまた、変化が支配者と被支配者の関係に与える影響にうまく対処しなければならない。サウジ国民には表現の自由はないが、ソーシャルメディアを広く使っており、世論は無視できない。王族の腐敗と過剰な消費は広く知られつつあり、節約を課そうとする試みの妨げになりかねない。

 サウジは何としてでも改革が必要だが、予想される大幅な変化でサウジは未知の領域に入る。国民は政治参加を求めるだろうが、それは王室の将来像には入っていない、と指摘しています。

出典:Roula Khalaf , Lionel Barber & Simeon Kerr ‘Saudi Arabia: The wake-up call’(Financial Times, November 29, 2015)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/1aa6c886-91d1-11e5-bd82-c1fb87bef7af.html#axzz3t1v0Pi7L

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