WEDGE REPORT

スマホが地震計に? 人命救助に期待かかる“MyShake”

土方細秩子 (ひじかた・さちこ)  ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

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 このアプリ、日本のように地震の多い島国にはうってつけのものかもしれない。現在はアンドロイド用のみだが、いずれiOSやウィンドウズ向けのものも開発する予定だという。研究者は「アプリは世界中どこでも使える。世界には10億台のスマホが存在すると言われるが、特に地震の発生が多い地域で積極的に活用してほしい。それが我々のデータの蓄積にもプラスとなり、より正確な地震予知が可能になる」と呼びかけている。

地震計少ない地域では人命救助に期待も

 もちろん従来の地震計にとって代わるものではない。アレン氏は「元々地震が多く、地震計のネットワークのある地域では、アプリにより今までよりも早く警報が出せる可能性がある。一方であまり地震計が設置されていない場所では、アプリは多くの人命を救う重要な役割を果たせる可能性がある」という。

 例えば昨年大地震に見舞われたネパール。同国内には米国や日本のような地震計のネットワークがない。しかし国内にはおよそ600万台のスマホが存在する。もしそれらのスマホがアプリを搭載していたら、実際の揺れよりも20秒前にスマホが警報を発していたはず、とアレン氏は語る。

 地震のクラウドソーシング、という全く新しい考え方だが、特に発展途上国においてはこのアプリが今後重要な地震計としての役目を果たすのでは、との期待もある。米では全米地学協会に820万ドルが連邦政府から支給され、特にカリフォルニアではShakeAlertという警報システムがテスト運用されている。ShakeAlertは一昨年ナパバレーで地震が起きた際、5秒後にサンフランシスコの公共交通システムに警報を発することに成功したが、MyShakeのテストではそれよりも早いタイミングでの警報が可能だったという。

 アレン氏の目標は「将来、すべてのスマホに基本アプリとしてMyShakeが搭載されること」だという。ただし、その場合すべてのデータがバークレーのサーバーに集中することになり、このデータを日本のような地震多発国の研究所とシェアしあい、共同研究を進めるといった姿勢も必要になるだろう。

  
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土方細秩子(ひじかた・さちこ)

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ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

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