2024年4月27日(土)

古希バックパッカー海外放浪記

2016年5月4日

 こうして国家予算で反日的作品が絶えず制作され、日々大衆が娯楽として楽しんでいるうちに反日史観が自然と素朴な感情として根付いていく怖さを感じた。ひるがえって、昭和30年代の日本を思い出した。当時は米国の戦争映画・TVドラマが大量に放映・放送されていた。ビック・モローの連続TVドラマ「コンバット」、ジョン・ウェインの「史上最大の作戦」、スティーブ・マックウィーンの「大脱走」など米軍の正義の勇士が艱難辛苦の末ドイツ軍を打ち負かすという勧善懲悪の世界である。子供たちは正義の米軍兵士に憧れたし、一般大衆も娯楽作品として楽しんでいた。

 こうした当時のハリウッド作品は第二次世界大戦において全体主義ファシストである日独伊の侵略から世界を守った自由民主主義のリーダーとしてのアメリカという世界観・歴史認識を日本の大衆にきわめて素朴に浸透させることに大いに貢献したと思われる。それと同じことを戦後70年間共産党宣伝部は継続してきたのである。

大型抗日戦争テレビドラマと銘打ったポスター。日本軍将校が軍刀を振りかざす姿が日本軍の残虐性を象徴

「あなたは韓国人ですか?」(ニーシ―ハンゴウレンマ?)

 この言葉を雲南の旅で何度聞いたことであろうか? 私が拙い中国語で地元の普通の人々に道を聞いたり、買い物をしたり、何か頼みごとをしたときに、彼らは微笑みながら好奇心を露わにして好意的な表情で必ず韓国人かと聞いてきたのである。理由は明白である。雲南省では日本人の旅行者、特に個人旅行者は韓国人に比較して圧倒的に少ないからであろう。

 42日間の旅行で結局日本人には一人も会わなかったが、バックパッカーの韓国人若者には毎日少なくとも数人は会ったし、著名な観光地では韓国の団体旅行に頻繁に遭遇した。圧倒的なプレゼンスの差である。食堂や土産物屋で「ヨボセヨ」「アニョセヨ」と何度呼びかけられたことであろうか。

 ところが「私は日本人です」と回答すると、一瞬間が空いて相手は困惑したような表情を浮かべて、なんとなく気まずい雰囲気になってしまうのであった。素朴な地元の人々は日本人と直に接したことがなく軍国主義者、侵略者で凶暴な日本兵の末裔の日本人に遭遇して困惑したのであろう推測した。


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