ネット炎上のかけらを拾いに

2016年6月7日

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 さらに、尾木氏のブログの文体は独特で、改行が多い。「置き去りそのものが真実なのか失礼ながら疑いたくなってしまいます…」(6月3日)という一文に4行使うほどである(行間のスペースも1行として数えるなら8行)。実際にその場で話しているような感覚で文字入力を行っているのではないか。決してうまい文章ではなく、むしろ稚拙。そして読んでいるうちに次第に「無邪気さ」を感じてくる。

「言葉は言葉で取り消せる」を許さない大人たち

 尾木氏は恐らく、教育評論家として子どもの心を語りつつ、自身もまた子ども心を忘れていない人なのではないか。思いついたことをすぐに書き、間違いを恐れない。慎重さを覚えた大人にはなかなか真似できない言い切りをする。バカにして言っているのではない。尾木氏は「謝って許されない発言なんてそうそうない」と知っているし、子どもに対してそう接してきた人なのだろう。「言葉は言葉で取り消せる」と。

 企業や一個人の炎上において、謝罪した人をさらに叩き続ける人は必ずいる。下げた頭を踏む、というやつだ。多くの場合そうやってマッチを擦り続ける人たちは、本気で怒っているというよりも、ただ上げたこぶしを下げられないだけ、殴り続けたいだけ、に見える。

 尾木氏は、炎上した記事を削除することはほとんどない。ただ追加の投稿で謝罪をするのみ。もちろん炎上後も記事の投稿を続ける。6月6日、17時時点での最新の投稿は「金沢でも小2山中に『しつけ置き去り』が発生」である。普通の大人であれば、炎上したトピックからはいったん距離を置きたい心理になるが、尾木氏はそんなことは考えない。ただただ、トライ&エラーを繰り返す。誰も芯まで燃やし尽くすことなどできないのが「オギ・ブロ」だ。だから、いわゆる炎上と尾木ママの炎上は趣が異なる。

 炎上したら謝罪し企画を取り下げたり、公式アカウントを停止したりする企業は、ぜひ尾木氏のブログを読んでほしい。フロンティアスピリッツはここにある。たぶん。

  
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