世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年7月6日

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トルコにとってPKKはISと同等の脅威

 上記では、シリアのクルド民兵組織(YPG)をテロリストの脅威とみなすトルコと、YPGをシリアにおけるIS攻撃の主要戦力とみなす米国とは衝突しかねないが、衝突を避けるためには、米国がシリアのもう一つのクルド民兵組織(Roj Pesh)をIS攻撃の陣営に加えることと、エルドアンがYPGとPKKとの静かな対話を模索すること、が考慮されるべきであると、イグネイシャスは述べています。

 Roj PeshをIS攻撃の陣営に加えることは、さして困難なこととは思われません。問題は、エルドアンがYPGとPKKと対話することです。

 トルコ政府とPKKは、過去、休戦と休戦の破棄を繰り返してきました。この間、和平会談も行われましたが、現在は2015年7月に休戦が破棄されて以来、対立が続いています。

 米国にとってISとの戦いが地域での最大の戦略的関心ですが、トルコにとってはPKKが最大の関心事で、トルコ政府はPKKをISと並ぶ脅威であると述べ、地域における一番の脅威であるとすら言っています。トルコ政府がそのPKKとの対話を模索することは容易ではありません。

 もっとも、2013年から2015年に対話をした経緯があり、また最近は、トルコ政府がPKKのテロ活動に手を焼いており、対話のインセンティブがないわけではありません。

 米国とトルコは、PKK以外にもなかなか政策の一致を見ない場合が多いです。しかし、米国とトルコはNATOの同盟国です。両国が衝突することは、なんとしてでも避けられなければならず、エルドアンの政治力に期待せざるを得ません。

  
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