地域再生のキーワード

2017年5月14日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、東京証券部、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務める。11年からフリーに。熊本学園大学招聘教授。近著に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)。

 水産資源の豊富な高知県室戸。この街に魅せられた青年は、海洋深層水を使い、青のりやアワビ、トコブシを育てるという循環型のビジネスを立ち上げた。地域の「お母ちゃん」と共に室戸の価値を発信している。

 きっかけは高知大学の構内で見かけた1枚の張り紙。学生向けのビジネスプランコンテスト『キャンパスベンチャーグランプリ』の募集だった。高知県の東南端、室戸岬の海に魅せられて単身移住し、地域起こしに取り組んでいる若者がいる。蜂谷潤さん、29歳。岡山県出身で、高知大学農学部の栽培漁業学科で海藻類の養殖技術を学んだ。フィールドワークで室戸に通ううち、ひょんなことから地域のひとたちを巻き込んだ起業に乗り出すことになった。

蜂谷潤さん

 室戸では深海から湧き上がる海洋深層水をくみ上げ、地域の目玉にしてきた。その海洋深層水を使った青のり栽培を高知大学が技術指導していた。蜂谷さんは指導教授に相談、これをビジネス化するプランを作って応募した。

 すると、四国大会で最優秀賞を受賞。全国大会でもテクノロジー部門大賞と文部科学大臣賞を受賞した。大学3年生の時だ。

 海洋深層水は室戸岬沖の水深340メートルでくみ上げている。光合成に必要な太陽光が届かないため、ミネラル分が豊富で、水温も低く年間を通じて一定しているのが特徴。しかも化学物質などによる汚染もほとんどない。

 清らかな冷たい水が不可欠な青のりの栽培には持ってこいなのである。養殖は陸上の水槽で行うため、天候にも左右されずに収穫できる。

養殖する青のり

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