イノベーションの風を読む

2016年9月1日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

iPhoneがモノに組み込まれる

 アプリケーションプロセッサーとベースバンドプロセッサーが(SiPやSoCで)統合され、eSIMが組み込まれた低消費電力で超小型のプロセッサーは、iPhoneが1つのチップになったようなものだ。それによってApple Watchだけでなく、新しい製品の可能性が見えてくる。

 アップルの共同創業者のスティーブ・ウォズニアックは失望しているが、次のiPhoneからは3.5mmイヤホンジャックが消失するらしい。アップルは、iPhoneとワイヤレス(Bluetooth)のイヤホンで音楽を楽しむことをお勧めするようだが、iPhoneをイヤホンに組み込んでしまえば、イヤホンだけで音楽を楽しむことができる。Apple Musicから音楽が直接ストリーミングされるイヤホンを着けるだけで、聴きたい曲や「いいな」と思える曲が流れてくる。

 ストリーミングサービースを始めるためにアップルが買収したビーツ(Beats ElectronicsとBeats Music)は、ヘッドホンやイヤホンのメーカーでもある。通勤やランニングや水泳など、いろいろなシーンごとに音楽を楽しむための新しい製品を創り出すことができるだろう。

 インターネットにつながったiPhoneは、デジタルカメラやiPodや携帯ゲーム機など、多くの「インターネットにつながっていないモノ」をアプリとして呑み込んできた。しかし、もはやその形態では新しい価値を生み出せなくなってしまっている。1つのチップになったiPhoneをいろいろなモノに組み込むというチャレンジによって、アップルはジョブズの呪縛から解放されるかもしれない。

  
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