2024年4月26日(金)

前向きに読み解く経済の裏側

2016年11月28日

 今ひとつの手は、平等主義を一部修正して「たくさんパンを作ったら褒美をやる」という制度を作ったことです。そうなると、味は関係ありませんから、簡単に作れる不味いパンが大量に作られることになったのです。本当は「美味しいパンを作れば褒美をやる」が正しいのですが、どのパンが美味しいのかを政府の役人が判断して廻るのは無理だったのです。

 資本主義であれば、「美味しいパンを作れば沢山売れて儲かる」と考えた「欲張り」たちが美味しいパンを作ろうと競い合いますが、共産主義では誰もそうは考えなかったのです。

豊作で穀物が暴落して農家が破産するのを助けるのは強欲商人

 世界的に穀物が豊作で、通常の1.2倍の収穫があったとします。農家は、作った穀物を売り切ろうとして値下げしますが、人間の食べる穀物の量は値段が下がってもそれほど増えません。そこで、値下げしても売れ残る量はそれほど減らず、さらなる値下げが必要となる、ということが繰り返されるでしょう。「そんな安値で売るのは嫌だ」と思っても、他の農家が値下げをするので、「値下げをしないと全く売れない」のです。

 結果として穀物価格は暴落します。半値になるかもしれません。それでは多くの農家が破産したり、来年分の肥料が買えなくて来年の生産ができなかったりするでしょう。そうなれば、来年は穀物不足で価格が高騰するでしょう。

 これは、農家にとって大いに不幸なことですし、消費者にとっても不幸なことです。そんな時に白馬に乗った王子様が助けに来てくれます。強欲商人です。彼らは、暴落した穀物を大量に買い、来年まで持っていて値上がりした所で売ろうとします。

 それによって農家は破産を免れますし、肥料も仕入れることができるので、来年の生産もそれほど落ち込みません。来年の生産が通常の0.8倍であれば、皆がハッピーです。今年の穀物価格は若干安めですが、農家はそれほど困りませんし、来年の穀物価格は若干高めですが、消費者はそれほど困りません。強欲商人も、そこそこの利益を手にします。めでたしメデタシです。


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