前向きに読み解く経済の裏側

2016年11月28日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

 道徳の先生は、「欲張りはいけません。ガメツイことは悪いことです」と教えるのでしょうが、ビジネスの先生は「生徒が欲張りである」ことを前提に、どうやって儲けるかを教えます。世の中は、温かい心と冷静な頭脳の組み合わせで上手く行くので、両者はどちらも正しいと言えるでしょう。

経済の世界では、欲張りは良いこと

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 経済の世界では、人々が欲張りなのは良いことだとされています。筆者が空腹の時にコンビニでパンを買うとします。コンビニがパンを売っているのは、コンビニが欲張りだからです。パンを売れば儲かると思うからパンを仕入れて売っているのです。だから筆者が空腹を満たすことができるのです。

 コンビニが欲張りでなかったら、パンが売り切れてもパンを仕入れないかもしれません。「パンを仕入れて棚に置けば儲かるだろうけど、面倒だからやめよう。そんなにガツガツ金を稼いでも仕方ないから、のんびりしよう」と考えたとすれば、筆者はパンにありつけないでしょう。筆者としては、コンビニに「もっと欲張りになって欲しい」と頼みたい気分です(笑)。

欲張りを否定して失敗したのが共産主義

 共産主義は、「貧富の差をなくす」ことを目的としたので、「真面目に働けば豊かになれる」というコンセプトを否定したのです。これは、「豊かになるためではなく、人々の役に立つために働きなさい」ということですから、「欲張りを捨てなさい」ということと同じです。

 共産主義の失敗は、「人間は欲張りである」という現状を認識しながらも、その現状が変革できると考えた事でしょう。人間の性格など、そう簡単に変えられるわけがないのに。

 そこで、「欲張りのままで構わないが、仕事だけは真面目にやりなさい。やらないと鞭で叩きますよ」ということにしたわけです。しかし、真面目に仕事をしたか否かを判断するのは、意外と難しいことです。「真面目に働いたけれども、成果が上がらなかった。能力がなくてゴメンナサイ」と言われたら、鞭で打つわけにも行かないでしょう。

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