世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年3月7日

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 アジア太平洋地域の多国間貿易において、米国がTPPから離脱したからと言って、中国が地域覇権国として米国に代わり、主導的役割を担うことは考えられない、とフィナンシャル・タイムズ紙の社説が述べています。 

 今日の中国の経済状況――とくに、その保護主義的政策の数々、最近の輸出入の大幅減に示される経済減速、多国間の貿易交渉についての経験不足――などから見て、このフィナンシャル・タイムズ紙の社説内容は妥当なものです。

 中国がアジア各国との間で進めている多国間協定はRCEPなどであるが、これも中国にとってはさほどの「熱意の対象」とはなっていない、というのはそのとおりです。そして今後とも、中国としては二国間貿易をテコに、必要に応じて相手国に圧力や懲罰を加えるとの手法を続けるものと思われます。

最善の道とは?

 習近平が最近のダボス会議において、トランプ政権への牽制としてでしょうが、中国が保護主義の経済体制に反対している、との趣旨を述べたのは皮肉なことですが、この発言を信じた人は多くはないでしょう。

 トランプによる米国のTPPからの離脱決定は、今後、アジア太平洋地域において経済・政治関係を混乱させる可能性が強いです。長期的に見れば、経済はブロック化に向かい、貿易競争につながり、地域経済全体の縮小均衡に向かうきっかけともなり得ます。

 米国にとっても、このままでは、短期的にはある程度の成果を得ても、長期的には製造業の競争力弱体化に向かう可能性が強いです。

 最善の道は、トランプ政権の翻意を促すことによりTPPを復活させるか、これに代わる新たな多国間貿易協定を結ぶことの重要性をトランプに認識させることでしょう。アジア太平洋諸国の多くが安倍政権に期待する所以です。

  
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