地域再生のキーワード

2017年9月9日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 サミットということで、最初はシャンパン用の器を木曽ヒノキで作ったが、これも木材から削り出した。シャンパンを木の器でというアイデアが飛躍的だったのか、こちらは残念ながら採用にはならなかった。

深井公さん

 井上さんが削り出した木地に塗装し、今度はそれに漆を塗り、蒔絵を施す。漆器の郷として知られる木曽平沢にアトリエを構える伝統工芸士の深井公さんに蒔絵を依頼した。深井さんは復元が進む名古屋城本丸御殿の天井蒔絵を担当している地域の名工だ。図柄はおめでたい吉祥松竹梅である。

 サミットが終わって、この酒器を売り出すことにした。伊勢で結婚式をプロデュースするボルボレッタの中澤よりこさんが販売を一手に引き受け、限定100個を売り出した。価格は一つ3万円(税別・送料別)だが、一つひとつ手作りのため予想以上に製作に時間がかかっている。

 酒器のような「小さな物」をいくら高く売っても、それで林業が再生するわけではない。だが、木で作った本物をきちんとした価格で買ってもらうことが、その一歩につながると柴原さんは考えている。

大木が多く残る南木曽の山

国産材の消費を増やす 

 実は、柴原さんの南木曽木材の仕事はここ10年で激変した。全国の神社仏閣の修理や再建用の木材を提供する仕事に特化しているのだ。伊勢神宮で20年ごとに行われる遷宮では、社殿や鳥居、柱などを一新する。鳥居には樹齢200年を超す巨木が必要になる。

 最近増えている城の再建なども大きな木が不可欠になる。そうした巨木は南木曽だけで賄えるわけではない。全国の山を回って、巨木が売りに出ると買い付けにいく。最近では年の半分以上を県外で過ごしている。

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