WEDGE REPORT

2017年4月4日

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生涯設計まで慎重に検討

 第2段階として、「方針決定会議」を3カ月に1回開催。今年1月18日の方針決定会議では、社協職員に加え、区の部課長クラスなど約30人が参加し、更なる検討が加えられていた。

 「保有のマンションを売却することで介護施設の入所費用を捻出できると考えている」「残りの財産である300万円がなくなった後は生活保護への切り替えが必要だが、生活保護制度について知識のある市民後見人にお願いしようと考えている」など、新規の申し立て案件一人ひとりに関して協議がなされ、後見人をつけた後の生涯設計までが慎重に検討されていた。 

品川社協で行われた運営委員会では白熱した議論がなされていた(写真・Wedge)

最終段階の審査は、3カ月に1度、学識経験者や医師、弁護士、福祉関係者ら10人を交えた「運営委員会」で行われる。

 1月25日の委員会では、医師から「レビー小体型認知症は意識の変動が激しく対応が難しいことがあるが、市民後見人候補者はそのあたりを心得ている方か?」といった医学的な観点からの質問が出ていた。また弁護士からは「今後、相続が発生する案件なので、専門知識を持つ法人での受任には賛成だ」などの発言もあった。

 会議の後半、すでに後見を開始した人らの近況を社協職員が報告した。

 「グループホームに入所している被後見人さんが得意なお絵描きを、区の展覧会に出品したり、子どもたちに教えたりする機会を作ろうと考えています」。「判断能力を失って施設に入所することになった被後見人さんが自宅を引き払いました。すると大家さんから『長く住んで頂いたことに感謝しており、一言お礼が言いたい』とのことで、施設で引き合わせると、被後見人さんが瞬間的に思い出してくれて、とても喜んでくれました」。

 判断能力をなくした後も、被後見人にとって最良の人生が何かを、全員が知恵を出し合って考えた跡が感じられた。運営委員会の委員長を務める中央大学法学部の新井誠教授は語る。

 「財産管理だけでなく、身上保護の観点から一人ひとりの状況を踏まえ、本質的な運用を心がけている。介護事業者などの関係者と連携している点も品川の連携の強さを良く表している」

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