シリーズ「待機児童はなぜ減らないのか?」

2017年4月11日

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小林美希 (こばやし・みき)

労働経済ジャーナリスト

1975年生まれ。株式新聞社、毎日新聞エコノミスト編集部を経て2007年2月からフリーのジャーナリスト。「ルポ看護の質〜患者の命は守られるのか」「夫に死んでほしい妻たち」(朝日新書)、(岩波新書)「ルポ保育崩壊」(岩波新書)と「ルポ母子家庭」(ちくま新書)「ルポ“正社員”の若者たち」(岩波書店)、「看護崩壊」(アスキー新書)、「ルポ職場流産」(岩波書店)、「ルポ産ませない社会」(河出書房新社)など

臨時任用職員は育休の権利なし

 さらに、地方公務員にも臨時・非常勤職員が増加しているが、地方公務員の育児休業法によってそもそも育児休業が対象外の働き方が存在する。6カ月の契約期間となる「臨時任用職員」には、もともと育休の権利がない。しかし、実態としては契約更新を何回も繰り返して、若いうちから10年も働き続けているケースもある。臨時任用職員が出産しても、産後休業の8週で職場復帰を余儀なくされているのが実態だ。

 地方公務員の一般職非常勤などについて育休を取得できる範囲は条例で定めるよう求められている。総務省の「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」(2016年12月)で提出された資料によれば、例えば「一般職非常勤職員」を雇い入れている都道府県・指定都市・市区町村777団体のうち、育児休業を導入する「条例の改正済み」は469団体、「検討中」が16団体あるものの、「予定なし」が292団体にも上る。こうした取り決めが、まさに冒頭の良子さんの例に当たる。

 0歳児で子どもを保育所に預けなければ働くことのできない女性がいかに多いかが分かるが、ここが見逃されている。雇用形態や自営業であるかなどの要件そのものを取り払い、希望する全員が育児休業を取得できるようにするのか、0歳児の定員を増やすのか。育休が取れない根本原因を解決するように、企業が法令遵守する仕組みを拡充するのか。非正規そのものを大幅に減らすのか。そこが解決しない限り待機児童は減らないだろう。

  
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