シリーズ「東芝メモリを買ってほしいところ、買ってほしくないところ」

2017年4月13日

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湯之上隆 (ゆのがみ・たかし)

微細加工研究所所長

1961年生まれ。静岡県出身。京都大学大学院(修士課程原子核工学専攻)を修了後、日立製作所に入社。以後16年にわたり、中央研究所、半導体事業部、デバイス開発センタ、エルピーダメモリ(出向)、半導体先端テクノロジーズ(出向)にて、半導体の微細加工技術開発に従事。2000年に京都大学より工学博士授与。現在、半導体産業と電機産業のコンサルタントおよびジャーナリスト。微細加工研究所所長。著書に『日本型モノづくりの敗北 零戦・半導体・テレビ』(文春新書)など。

オールフラッシュストレージ時代の到来

 人類が生み出したビッグデータは、サーバーにストレージする。そのデータを検索したり、演算したりして、ビジネスに応用する。そのサーバーの記憶装置としては、HDD(ハードディスクドライブ)とSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)がある。

 SSDは消費電力が小さく、HDDよりも数百倍高速に動作するが、HDDよりも高価であることが普及を阻んでいた。つまり、HDDの唯一の長所は「安い」ことだけだった。ところが、そのただ一つ残っていたドミノが倒れはじめたのである。

 サムスン電子は、2016年9月下旬に開催された「Samsung SSD Global Summit 2016」で、「SSDによるHDD代替はドミノ倒しのように進んでいる。最後のドミノが倒れるのも時間の問題だ」と発表した(日経エレクトロニクス2016年11月号、18ページ)。最後の“ドミノ”とは、価格である。HDDが唯一優れている特長となっている価格においてすらも、SSDが追い越すと言っているのである。

 サムスン電子によれば、2017年に、128GBのSSDの価格が500GBのHDDと同等以下になる。そして2020年には、512GBのSSDの価格が1TBのHDD以下になるという。この時点で、もはやHDDを使う理由はほとんど無くなる。つまり、最後のドミノが倒れ、オールフラッシュの時代が到来するというわけだ。

 さらに、サムスン電子が2016年に、世界最大容量15.36TバイトのSSDの出荷を開始した。最高クラスのHDDと比較して記録密度が1桁大きく、スピードでHDDの350倍、ビット価格でも高速HDDを下回ることが明らかになった。つまり最早、サーバーでも、PCでも、HDDを使う理由はなくなったのである。

 既にHP社のサーバー事業は、2015年第4四半期で、売り上げの39%がオールフラッシュサーバーとなったと発表した。サーバーメーカーの想定を上回るペースで、オールフラッシュサーバーの導入が進んでいるのである。この勢いで行くと、2020年には、サーバーの70%以上がオールフラッシュサーバーになると予測されている。

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