WEDGE REPORT

2018年2月15日

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田中淳夫 (たなか・あつお)

ジャーナリスト

静岡大学農学部卒業。出版社、新聞社を経て、主に林業を中心に取材・執筆。著書に『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)など多数。

持続可能な林業経営につながる補助の仕組みづくりが必要

 日本の森を役立つ補助制度とはいかなるものか。目先の木材生産量を上げても、山を荒らしてしまえば将来は林業を営めなくなる。だから主伐を行うにしても、面積や作業方法を厳しく規制すべきだろう。もちろん再造林とその後の育林は必須だ。

 ただそれ以前に必要なのは、長期的な視点で持続的に林業経営を行える仕組みづくりではないか。そのためには山主へ還元額が増える策を考えるべきである。利益が出るとわかれば、山主の林業経営を続ける意欲が高まる。後継者も現れるかもしれない。将来も林業を続けるつもりなら、林地を荒らすような伐採は行わないし、再造林や育林にも熱心になるはずだ。

 補助金が何のために、どこに、どれだけ投入されて、どんな成果が得られたか納税者に説明する「補助金の見える化」も進めるべきだ。毎年数千億円もの税金がほとんどの国民が知らないうちに林業に投入されているのに、成果が見えないのは不健全である。

 気になるのは現在の補助金が、植え付けや下刈り、間伐……という個別作業に支払われている点だ。そのため結果を期待しない形だけの作業が行われがちだ。植えた苗が枯れても気にしないようでは森づくりに役立ったとはいえない。

 たとえば植林後何年か後にちゃんと森が成立しているか結果を見届けて満額支払うような補助制度はつくれないだろうか。目的と成果がつながっていたら納税者も理解しやすい。

 日本の山は地形や地質、気候みんな違う。だから、いつどんな作業を施せば将来どんな森ができるのか見極めるのは難しい。だが、そうした眼を持つ人材を育て、活用できる仕組みづくりが林業の健全化に欠かせない。補助金も、そのための一歩になる使い方を考えてほしい。

  
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◆Wedge2018年2月号より

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