世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年8月8日

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 上記共同声明では、「市場指向的ではない政策・慣行及び強制的な技術移転又はサイバーによる窃取等の知的財産権の不十分な保護に対処し、既存の国際ルールの執行及び新たなルールの構築のために協働する」など、名指しはしていないが、中国の保護主義に対しても対抗する姿勢を示している。保護主義との戦いを、WTOを現代化する文脈の中で、つまり、WTOの枠内で行うと言っている。自由貿易を是とする勢力が、報復関税などの一方的措置ではなく、国際的ルールに則って、協力して対応するというのは望ましいことである。この点も歓迎すべきである。

 米国の保護主義に対抗して、各地域で自由貿易の流れが出てくることが望まれる。TPP11 の早期発効、各地での自由貿易地域設定交渉が進めば、米国にも中国にも一定の影響を与える可能性がある。今は、自由貿易と管理貿易・保護主義がせめぎ合う状況にあるように思われる。

 なお、7月18日付けフィナンシャル・タイムズ紙社説‘A measured cheer for the EU-Japan trade deal’は、「自由なデータフローに関する本質的で拘束力のある相互合意に欠ける」などとして、日EU経済連携協定について、歓迎しつつも厳しい評価をしている。EUの一般データ保護規則(GDBR)が、今後の貿易において不可欠なデータ移転を脅かすのではないかとの問題意識からの批判である。内容を充実させるためにもっと交渉を行うか、あるいは早期に交渉をまとめるかは、どのような時にも難しい問題である。しかし、米国の貿易政策が保護主義に傾き、それが世界を巻き込みそうな現在では、早期に自由貿易を推進する協定を結ぶのが正解であろう。データの流れについての話し合いは、継続してやればよい。
 

  
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