海野素央の Love Trumps Hate

2019年6月25日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

イラン、北朝鮮、日本よりもヒラリー

オーランドマジック(海野撮影@フロリダ州オーランド)

 トランプ大統領はイランに関して「米国はとんでもないイラン核合意から離脱した。世界一のテロ支援国家であるイランに最も厳しい制裁を課した」と主張しました。イランについての言及はこれのみです。

 これまでの支持者集会でトランプ大統領は、「米国は世界一の産油国になった」と訴えてきました。その効果があってか、うえで紹介したケンさんはホルムズ海峡近くのオマーン湾で起きた石油タンカー2隻攻撃の事件は、トランプ大統領と同様、「イランがやった」と述べていましたが、危機的意識はまったくありませんでした。

再選出馬表明の会場となったアムウエイ・センター(海野撮影@フロリダ州オーランド)

 約1時間20分の演説の中でトランプ大統領は、北朝鮮の核・ミサイル問題について触れませんでした。北朝鮮は核実験及び長距離弾道ミサイル発射を停止しているので、「現状維持でよし」とみているフシがあります。

 日本についてもまったく言及しませんでした。ただ、今回もそうですが、他の演説でもトランプ大統領は「私たちは勝って、勝って、勝ち続ける」と述べて、「ウイン(勝つ)」という言葉を繰り返し使用している点は注目です。

トランプ支持の傘をさして日差しを避けるトランプ支持者たち(海野撮影@フロリダ州オーランド)

 というのは、安倍晋三総理は貿易摩擦に関して「日米がウイン・ウイン(勝者・勝者)となる形の早期の成果達成」と説明しているからです。残念ながら、トランプ大統領には「ウイン・ウイン」の発想はなく、「ウイン・ルーズ(勝者・敗者)」のパラダイム(ものの見方)しか存在していないようです。

 さて、トランプ大統領がイラン、北朝鮮及び日本よりも演説の中で時間を費やしたのは、ヒラリー・クリントン元国務長官への攻撃でした。クリントン氏は20年米大統領選挙に出馬していません。

集会の会場に現れたトランプ大統領のそっくりさん(海野撮影@フロリダ州オーランド)

 にもかかわらず、なぜトランプ大統領はクリントン氏が私的なサーバーを使用して公務を行い、3万3000通のメールを削除したといわれる「メール問題」を取りあげたのでしょうか。

 一言で言えば、クリントン氏はメキシコから流入する不法移民と同様、トランプ支持者のやる気を高めるモチベーター(動機づけ要因)になっているからです。これも再選戦略といえるでしょう。

  
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