今回のテーマは、「トランプの再選戦略」です。ドナルド・トランプ米大統領は6月18日、南部フロリダ州オーランドにある全米プロバスケットボール協会のチーム「オーランド・マジック」のアリーナ「アムウエイ・センター(収容人数2万人)」で、再選出馬を正式に表明しました。20年11月3日の投票日まで、約17カ月間の選挙戦が本格的に始まりました。本稿では現地ヒアリング調査を交えながら、再選出馬演説の内容に基づいて、トランプ大統領の再選戦略を読み解きます。
17時間並び、最前列を確保
トランプ大統領の再選出馬表明の集会は、18日午後8時開始でした。筆者が17日の夕方に会場の下見に行くと、すでに約50人の支持者がテントを張って列を作っていました。
先頭の中高年の白人男性は、同日午前5時にアリーナに到着したと語っていました。彼はイベント開始39時間前から並んだということになります。その間、スコール(夕刻の雷雨)が2回ありました。
トランプ大統領は2万席に対して12万人の応募があったと自身のツイッターに投稿しました。そこで筆者が当日の午前3時に会場に行くと、すでに約250人以上の支持者が並んでいました。結局、17時間並び、再選出馬表明を行うトランプ大統領を前から3列目のほぼ正面の位置で観察することができました。
以前紹介しましたが、野党民主党の大統領指名争いにおいて支持率でトップを走るジョー・バイデン前副大統領は5月18日、東部ペンシルべニア州フィラデルフィアで支持者集会を開催しています。
筆者がイベント開始5時間前に到着すると、支持者は4人しかいませんでした(『明治大学海野教授が目の当たりにした興行師トランプの凄み』)。トランプ支持者の熱意のレベルは、バイデン支持者のそれと比べると、圧倒的に高いといってよいでしょう。