2024年4月26日(金)

故郷のメディアはいま

2012年12月6日

「岡高地区」の特殊な事情

 番組の転勤ドラマでは一つの県を原則2週連続で取り上げるのだが、今回は瀬戸内海を挟んだ2県が1セット扱いとなった。これには岡山県と香川県の県庁所在地高松市を採って「岡高地区」と呼ばれる特殊な事情が横たわっている。

 じつは両県は、相互乗り入れと1985年のテレビ東京系てれびせとうち(TSC)の開局によって両県が同一放送地域となり、東京(1都6県の関東圏)、大阪(2府4県の関西圏)、名古屋(3県で構成される中京圏)の基幹地区に次ぐ民放5局体制になった、三大都市圏を除いたエリアは原則県内免許とする放送免許の例外的な、極めて特殊な地域なのである。

 その後、鳥取と島根両県の放送局が相互に乗り入れ、TBS、日本テレビ、フジテレビと3つの系列局の番組を視聴出来るようになった。だが、相互乗り入れで5つの系列局すべての番組が揃ったのは、電波が行き交う混信が日常茶飯の“電波銀座”瀬戸内海を抱えているとはいえ、後にも先にも「岡高地区」だけである。

 将来ローカル局の経営が破綻した場合、同じ県内の異なる系列局同士の「垂直合併」、隣県の同じ系列局同士の「水平合併」が想定されている。たとえそうなったとしてもすべての民放の番組が視聴出来るのは、東阪名を除けば、昭和から平成に年号が替わって間もなくテレビ東京系の新局が開局した北海道と福岡に「岡高地区」くらいなものだろう。

進む採用抑制と人員削減

 「岡高地区」のテレビ放送開局順は、まずラジオ放送から始まったTBS系山陽放送(RSK)の1958年6月、同じくラジオ・テレビ兼営局の日テレ系の西日本放送(RNC)の同年7月、フジ系の岡山放送(OHK)とテレビ朝日系の瀬戸内海放送(KSB)の69年4月、そして85年のテレビ東京系のTSCとなっている。


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