2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年6月5日

 今度の選挙は、単なる政権交代ではなく、インドが大きく変わる選挙であるように思われます。選挙を通じて、従来の、ネルー以来の国民会議派の上流階級インテリが主導する、非同盟、フェビアン社会主義から脱却する傾向を濃くしているようです。

 と言っても、独立以来半世紀以上の伝統は強く、今でも同盟という言葉には反発があり、また、経済開発よりも分配を重んじる考え方は一部では牢固として残り、社会主義以来の労働組合の力は強く、自由な経済活動、特に外国からの投資誘致の障害になっているのも現実でしょう。しかし、それが徐々に変わりつつあり、今回の選挙が一つの転機となると期待されているようです。

 この論説では、ジャスワント・シンは、インドの外交について、インド太平洋地域の平和を支持する、印、米、日、韓、豪、ベトナム間で、各国と中国との間での経済関係を損なうことなく、戦略的同盟を結成し得る、と主張しています。

 これが、モディ新政府の外交となるのならば、第一次安倍内閣、麻生内閣(自由と繁栄の弧)、現在の安倍内閣と、継続性のある日本外交と方向性を同じくすることになります。また、中国との経済関係は損なわず、安全保障面で事実上の同盟を形成するということならば、今回のアジア歴訪で表明されたオバマ外交とも平仄が合います。

 また、現実的にそうなることを期待できるかもしれません。安倍内閣成立以来の、インドにおける論調、あるいは欧米におけるインド系評論家の論調を見ていると、日本に好意的でないものは無いと言っても過言でない状況です。このインドとの友好協力関係は今後も育てて行かなければなりません。

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