2024年4月27日(土)

Wedge REPORT

2015年11月12日

東京オリンピックでの野球復帰を願って

 「先ほど言いましたように、WBSCの存在意義は、世界に野球を広めていくことです。そのためには、野球の普及、振興に役立つ大きなエンジンとなるような大会が必要だと考えました。それがこのプレミア12の第一回大会なのです。各国が盛り上がって、日本でも大きな話題となると、2020年の東京オリンピックにも繋がるのではないかとも思っています」

 プレミア12は11/8から11/21まで、全38試合が行われる。日本野球機構(NPB)との交渉が難航したため台湾の単独開催という発表も一度はあったが、開幕戦と準決勝、3位決定戦、決勝が日本で、1次リーグと準々決勝が台湾というように、日本・台湾の共同開催となった。これについても横尾氏の説明は明快である。「開催国も台湾だけでということから共同開催に変更となりました。これはオリンピックが開かれる日本を重要視し、日本で盛り上がることが大事だと捉えた結果です。どのスポーツでも、オリンピック競技になることで、注目が高まりますし、政府のサポートも大きなものになります。各国でWBSCが実施しているクリニックなども含めて、プレミア12もオリンピックも、野球の普及、振興というテーマのための道標になります」

 野球の世界大会といえば、日本が2006年、2009年と2大会連続で優勝を飾ったワールド・ベースボール・クラシック(WBC)がある。WBCは、MLBの機構・選手会が共同出資して作った運営会社が開催しているという特徴があるのに対し、プレミア12はWBSC(世界野球ソフトボール連盟)が運営している。「考え方がニュートラルでいられる私たちが開催することで、より中立性を保った大会にすることができると思いますし、今回も各国のリーグと利害関係を調整できたのは、国際機関だからだと思っています」とそのメリットを語る。

 しかし、大会参加が期待されたMLBの選手たちは、長いシーズンが終了したばかりの11月は体調のケアを最優先する時期だということもあり、不参加となった。横尾氏は言う。「確かにMLBの選手は今大会には出場しませんが、アメリカを始めとした各国も正直強いと思います。日本のファンの方々にもご理解いただきたいのは、『メジャーが出ないから、プレミア12は面白くない』ということではなく、国の威信をかけて戦っている選手、代表チームを誇りを持って応援してもらえれば、きっと楽しんでもらえると思っています。他の国の取り組みや姿勢に注意を払うのは良いことだとは思いますが、日本が主体性を持って世界の野球をリードしていってほしいと思っていますし、また日本野球にはその力があると思っています」

日本、台湾、韓国のプロ審判も参加

開幕戦の審判はアメリカやカナダ、オーストラリアから来日した審判団が務めた。世界各国から一流の審判がプレミア12をジャッジするために集合している

 参加国はランキング上位の12カ国が選ばれたが、審判はニカラグアやパナマ、オーストラリアなど参加国以外からも招集された。WBSCの審判部長グスタボ・ロドリゲス氏は、「今大会の審判団を信頼している」と語る。「NPB(日本野球機構)、CPBL(台湾プロ野球)、KBL(韓国プロ野球)などアジアのプロ審判に加え、アメリカ合衆国やカナダからも参加。マイナーリーグやAAA、またメジャーでも経験のある審判だ。ベネゼエラやキューバでプロとして活躍している審判もおり、ベストな審判団になったと思う。ハイレベルな試合になると思うし、審判団も同じくハイレベルだ。野球ファンにとっては間違いなく興味深い大会になると思うよ」と笑った。


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