前向きに読み解く経済の裏側

2016年7月4日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

投資家の判断基準は「リスクとリターン」

 投資家が投資判断をする際に考えることは、どれくらいのリスクがあって、どれくらいの利益が見込めるのか(期待リターン、すなわちメリットがあるか)、ということです。「儲かりそうなら(期待リターンが大きいなら)、リスクをとっても構わない」という判断になるわけです。

 ここで大切なのは、期待リターンの大きさ、リスクの大きさと、今ひとつ投資家たちのリスクに対する考え方です。世の中には「リスクがあっても挑戦したい」という人と「リスクがあるならやめておこう」という人がいますし、同じ人でも局面によって判断が変わることもあります。投資家たちが「リスクがあってもリターンを狙って投資をしたい」と考える時、投資家たちが「リスク・オン」状態だと言います。反対にリスクを避けたいと考える時、「リスク・オフ」状態だと言います。

 投資家たちがリスク・オン状態の時は、多少期待リターンが少なくても、多少リスクが大きくても、投資を行ないますが、リスク・オフ状態のときは、多少期待リターンが高くても、リスクがあれば投資は行ないません。

今の円高は投資家のリスク・オフ化によるもの

 今回の英国のEU離脱というニュースに接し、投資家たちは「何か大変なことが起きるかもしれない。とりあえず為替リスクなどのリスクをとらずに、何が起きても困らないような状態でしばらく静かにしていよう」と考えました。「リスク・オフ」状態になったのです。

 そうなると、ドルの「ポジション」を持っている投資家は、ドルを売ろうとします。いつかはドルを売って円に換えなければならないというポジションを持っていると、円高ドル安になった時に損をしてしまうので、そうしたリスクを避けようとするわけです。

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