40代からの脳力の磨き方

2009年3月27日

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久保田競 (くぼた・きそう)

東京大学医学部を卒業後、同大大学院で脳神経生理学を学ぶ。1967年に京都大学霊長類研究所で助教授から所長を歴任し、京都大学を退官。京都大学名誉教授に。現在も研究活動を続けながら、森之宮病院と日立製作所基礎研究所の顧問、国際医学技術専門学校の副校長を兼任。著書に『脳を良くする小さな習慣』(アスキー)『衰えない脳は14日でつくれる』(大和書房)ほか。

脳力をアップする
おいしすぎる方法とは?

 前回は、年齢とともに脳のハードの部分の働きは低下するものの、ソフト面の脳力は使えば使うほどよくすることができる、というお話をしました。その鍵を握るのが、前頭前野にある「ワーキングメモリー」です。

 今回からは、このワーキングメモリーの働きを高める方法についてお話ししましょう。

 まずは食事編です。

 あまりにも簡単で拍子抜けされるかもしれませんが、その方法とは「おいしいものを食べること」です。

 おいしいものを食べると、なぜワーキングメモリーの働きがよくなるのでしょう。それには、ドーパミンを分泌する中脳皮質ドーパミン系(中脳皮質辺縁系)という脳内の刺激伝達経路が関わっています(図1)。

図1 ドーパミンを分泌するしくみ

 「おいしい」ものを食べると、快感や満足感、至福感をもたらしますが、食べたことで脳幹のなかの腹側被蓋野(VTA=ventral tegmental area)と呼ばれる神経細胞が集まっているところが刺激されます。刺激を受けた神経細胞(VTAニューロン)は末端で、神経伝達物質のドーパミンを分泌します。このドーパミンの分泌は、腹側被蓋野から神経細胞でつながっている前頭葉に達し、前頭葉の働きを高めてくれます。そして、前頭前野にあるワーキングメモリーや側座核の働きをよくするのです。

 同時に、ドーパミンは運動をつかさどる運動野に伝わってスピード力や筋力を高め、運動前野にも伝わり運動のスキルを向上させるという効果をもたらします。

 さらに、側座核に達したドーパミンは海馬を刺激し、新しいことを記憶する能力が高まります。

 脳のためには、忙しいからと食事を抜いたり、おいしくないものを適当に食べるということは、できるだけ避けたほうがよいのです。

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