障害者アスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた

2016年9月26日

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 当初は陸上競技でパラリンピックを目指す、という案もあったが、本堂の希望でスキーを選んだ。幼い頃からスキーに親しみ、高校時代に2級を取得していたからだ。

 日本体育大学船渡研究室で行われた体力測定によると、2001年~2011年の国立スポーツ科学センターのデータと比較しても、臀囲や大腿囲のサイズは、全日本代表女子選手及び全日本アルペンスキー選手と比較しても同等の数値であり、膝伸展筋力においては体重の3倍近い数値を示し、ジャンプ能力に関しても同様に高い値を示してアルペンスキー競技に必要な基礎体力を有していることが明らかになっている。(日本体育大学スキー部パラリンピック出場応援プロジェクトの資料より一部引用)

 ピョンチャン(平昌)2018パラリンピック冬季大会出場を目指す「日本体育大学スキー部パラリンピック出場応援プロジェクト」が始まった。当面の目標は2017年3月に日本障害者スキー連盟の強化指定選手に選ばれることである。

 そのため8月には3週間のニュージーランド合宿に参加し、10月にはオーストラリア合宿、11月には北米合宿、その後国内合宿の予定が組まれている。

 短い期間だが、ラグビー選手に戻れそうなのは9月だけだ。

 「今年の春に2年後のピョンチャンパラリンピックを目指すことになってから、ものすごい早さで話が進みだして、私だけが置いていかれたような気持ちになりました。専門用語も飛び交いますし、その訳もわからないうちに8月のニュージーランド合宿に参加することが決まってビックリしました。私、海外に行くの初めてなんです~(笑)。もう不安で、不安で仕方がありません」

 「でも、周りの方たちがいろいろな準備のために動き出して、もう後には戻れないんだと思いました」

 しかし、整理しきれないもう一つの夢もある。

 「私には15人制ラグビー日本代表になるという夢があります。でも、両立ができるほど甘い世界ではありません。やるからにはとことんやります。ひたすら努力して、気持ちを上へ、上へと高めていって、スキーでもトップを取る気持ちで取り組みます」

 「(ラグビー部の)コーチからも今がチャンスだ。チャレンジしろ。と言われています。私もこんなに素晴らしいチャンスは失いたくありません」

 「私には応援して下さる方たちがいます。その気持ちにはきちんと応えたいと思っています。そのためにはパラリンピックに出場して結果を出すことです。それが恩返しのスタートになると思っています」

 そして

 「今の私には先が見えません。今後どうなっていくのか不安で仕方がありません。ですが、今がチャンスなら前に進むだけです。そう考えると希望が湧いてきます。不安な気持ちを希望で超えていけばいいんですよね」

 中学時代の恩師の言葉が、いまの本堂を支えている。

 「頑張ることが常に良いこととは限らない。しかし、いつかは必ず報われる」

取材後記
8月に行われたニュージーランド合宿を終え、本堂は正式に日本障害者スキー連盟の「育成指定選手」に認定された。2018年のピョンチャン(平昌)パラリンピック冬季大会に向けて、さらなる強化が始まっている。

  
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