この熱き人々

2019年5月23日

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吉永みち子 (よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

 「賞を取りたい、認められたいというのは目標で、目標はあった方がいい。でもそれはグリコのおまけみたいなもので、目的はあくまで人生が楽しく豊かになるという美味しいキャラメル本体だからね。おまけのために本体の美味しさを放り出したら本末転倒だよねってみんなに言ってます。ま、評価を当てにして作るのは、結局凡人ド真ん中の作品にしかならないけどね」

昨年、道後湯月町の上人坂〈しょうにんざか〉に「伊月庵」を開設した

 夏井の目指す1億2000万人総俳人化の俳人とは、俳句の名人ではなく俳句を楽しむ人。季語の森の豊かさや、自分の中に渦巻く思いや、人間関係すらも17音に取り込んで、人生を楽しむ人。転んでも立ち上がるために俳句という「人生の杖」を持つ人。

 昨年6月、夏井は松山の道後温泉の近くに、俳句好きの誰もが気軽に立ち寄り句会を開ける「伊月庵(いげつあん)」という庵を結んだ。ブームはすさまじい勢いで多くの人に俳句の種を届けるが、種が芽吹き花開くのはそれぞれの人たちの心の中。自由に集えるこの場所は、きっと花を育て、さらに実をつけ次に飛ばすための小さな畑になるのだろう。   

 

石塚定人=写真

  
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◆「ひととき」2019年5月号より

 

 

 

 

 

 

 

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