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2016年7月21日

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吉田光宏 (よしだ・みつひろ)

ジャーナリスト

1954年広島県福山市生まれ。広島県立府中高校、中央大学を経て、新聞社記者に。1993年~94年米スタンフォード大学ナイトフェローシップ留学。20年間の新聞社勤務の後1999年に独立。国内外の自然環境保護、農林水産業などを取材&執筆している。日本環境ジャーナリストの会員、農政ジャーナリストの会会員。メディアコーディネーター、ビジネスプランナーも務める。著書に『農業・環境・地域が蘇る 放牧維新』(家の光協会)『広島県の農業を知るとカープを応援したくなる: 日本の農業は生き残れるのか』など。

 女性の職場特有(男性から見るとそう思える)の問題もクリアしてきた。川戸社長は「女性の数が多くなると、女性の人間関係の特性というか、派閥ができて社内がぎすぎすしてくるのを防ぐために」と、働き方を工夫した。配管システムの組み立て工場で働く約130人を4~6人のグループにしてそれぞれで作業計画から作業の内容までをグループが責任を持って取り組む。それぞれを「小さな会社」にして働きが収入に直結する経営者の感覚を持ってもらう。工場長も現場責任者もいないのだ。

配管の加工風景

 グループごとに作業計画から配管の加工(パイプのカット、組み立て、梱包、検査)まで進める。作業履歴はタブレットで記録してあり、ミスの所在が明確だ。タイムカードはなく、代わりにグループごとの「利益率管理表」がある。メンバー全員の作業時間合計や賃金額などを算出して、効率的に仕事をして増えた利益が一目で分かる仕組み。自分たちの仕事を早く終わらせ空いた時間に他のグループを手伝う「出稼ぎ」でも収入が得られる。

 3カ月ごとのグループの利益率が改善されるとメンバー全員に1人1万円の「飲み代」が支給される。グループの利益追求が優先される「信賞必罰」の明確さ。わずらわしい人間関係や他からの指示を待っている暇はないのだ。

働きも意欲も本人次第

作業履歴をiPadで確認する川戸社長

 派遣社員がいないのもこの会社の特徴だ。時給のランクは正社員、パートそれぞれにあるものの、実質的な賃金はほとんど差がない。パートは土日が必ず休みになり、ボーナスも出る。農村地域なので、長男の嫁ともなれば、田植えなどの農作業のある時は休めるので好都合だ。家庭の事情や自分の意欲や能力に合わせて働くことができる。

 従業員の多くは周辺の岩国中心地や柳井市などから車で30分ほどの距離を通勤している。産後3年間は自由に育児休暇が取ることができ、介護や育児などで途中退社した場合でも辞めたときと同じ条件で職場に復帰できる。女性にとって魅力のある職場であることは、結婚退社する女性は少ないことが証明している。

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