アフガニスタンで助産師や看護師になるための訓練を受けている女性たちが、3日午前から、授業に戻らないよう命じられたとBBCに語った。これによって事実上、同国の女性が義務教育後も教育を受けられる最後の道が、閉ざされることになる。
アフガニスタン各地の五つの教育機関も、同国を実質統治している武装勢力「タリバン」から、追って通知があるまで閉鎖するよう指示されたと、BBCに認めている。オンライン上で共有された複数動画には、閉鎖の知らせを受けて生徒たちが泣いている様子が映っていた。
こうした指示が事実かどうか、BBCはタリバン政府の保健省から正式な確認を得られていない。
今回の閉鎖は、タリバンが2021年8月の復権以降実施している、女性の教育に対する広範な方針に沿うものとみられる。同国では現在、10代の女子生徒は中等・高等教育を受けられない。
タリバンは学校のカリキュラムが「イスラム的」であることを保証するなど、多数の問題が解決されれば、女子生徒は再び学校に通えるようになると繰り返し約束してきた。
しかし、それはいまだ実現していない。
女性に残された数少ない教育機関
アフガニスタンでは、看護師や助産師になるための継続教育の機関が、義務教育後も教育を求める女性に残された数少ない道だった。
女性の教育を制限するタリバン政権下では、助産師と看護師は、女性が目指すことができる唯一の職業でもある。同国では男性保護者が立ち会わない限り、男性医師が女性を治療することが禁じられている。
BBC取材班はつい3カ月前、タリバンが運営する助産師訓練センターへの立ち入りを許可された。そこでは、20代の女性数十人が出産をどのようにサポートするのかを学んでいた。
女性たちは学ぶ機会が与えられていることを喜んでいた。
「家族は私のことをとても誇りに思ってくれている」と、訓練生のサフィアさんは話した。「子供たちを家に残してここに来たけど、私が国のために尽くしていることを子供たちはわかってくれている」。
しかし、この時も、こうした教育がいずれ停止されてしまうのではないかと、不安を口にする女性もいた。
私たちが取材した女性たちや、訓練コースに在籍する推定1万7000人の女性たちが今後、どうなるのかは不明だ。
生徒の今後、女性の医療への影響は
これまでのところ、女性の助産師・看護師教育の停止について正式な発表はない。だが、保健省関係者2人はオフレコで、停止は事実だと BBCアフガン・サービスに認めた。
ほかの訓練所からBBCに送られてきた複数動画では、訓練生たちが泣いているのが聞こえる。
ある動画では、「ここで泣いていても何の役にも立たない」と、生徒の1人が女性たちに話している。「(タリバンの規則を施行する)美徳推進・悪徳撲滅省の役人が近くにいる。あなたたちに悪い事が起きてほしくない」。
BBCに共有された別の動画には、訓練所を離れる女性たちが静かに抗議する様子が映っている。女性たちは歌いながら廊下を移動している。
カブール市内の生徒の1人は、「追って通知があるまで待つように」言われたと語った。
「学期末だというのに、まだ試験は実施されていないし、試験を受ける許可ももらえていない」と、この女性はBBCに語った。
別の生徒は、「荷物を持って教室を出るための時間しか与えられなかった」と明かした。
「タリバンがいつ来るかわからないし、何か起きるかもしれないから、中庭に立つのはやめろと言われた。みんなおびえていた」と、この生徒は話した。「私たちの多くにとっては、授業に参加することは、長期間の失業や絶望、家庭での孤立を経験した後に得た、小さな、かすかな希望の光だった」。
今回の動きが、女性の医療にとって何を意味するのかは、現時点ではまだわからない。国連は昨年、アフガニスタンが国内のニーズを満たすためには、さらに1万8000人の助産師が必要だと指摘している。
世界保健機関(WHO)によると、アフガニスタンの妊産婦死亡率はすでに世界最悪の水準にある。昨年の報告書は、出生10万人あたり620人の女性が死亡しているとしている。
(英語記事 Afghan women 'banned from midwife courses' in latest blow to rights)