韓国の最大野党「共に民主党」(DPK)など野党6党は4日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案を国会に提出した。尹氏による3日夜の非常戒厳の宣布は「反乱行為」にあたると、DPKは非難した。採決は7日までに行われる見通し。
尹氏は3日夜、国民向けの緊急テレビ演説で、「非常戒厳を宣布する」と発表。「国政はまひ状態にある」として、北朝鮮の共産勢力の脅威から韓国を守り、自由な憲法秩序を守るためだと説明した。これに対して韓国国会は4日未明、非常厳戒の解除を求める決議案を可決。尹大統領は同日朝、解除すると発表した。
DPKの中央委員会メンバー、金泳鎮(キム・ヨンジン)氏は、「民主主義の崩壊は、もはや許されない。国民の生命と安全は守られなければならない」と述べた。
同党は、尹氏を「反逆罪」で告発する方針だという。
また、非常戒厳の宣布の「主要な参加者」として国防部の金容賢(キム・ヨンヒョン)長官と李相敏(イ・サンミン)行政安全部長官の名前を挙げ、尹氏と共に告発する意向だとしている。
大統領府の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)秘書室長や申源湜(シン・ウォンシク)国家安保室長など、尹氏の複数の側近は4日、辞意を表明した。これが受理されるかは不明。
大統領府は、非常戒厳の宣布という当初の決定は「完全に(韓国の)憲法の範囲内のもの」で、経済と国民の生活への「被害を最小限に抑えられる」タイミングで発表したと正当性を主張している。
ソウルでは4日、学校や銀行、政府機関は通常通り開いているが、市内各地で抗議行動が続いている。
憤慨した市民らが通りを埋め尽くし、「尹錫悦を逮捕しろ」と声を上げた。
韓国最大の労働組合「全国民主労働組合総連盟」(KCTU)は4日、尹氏が退陣するまで無期限のストライキを行うと宣言した。
石破首相、「重大な関心」
日本の石破茂首相は4日、尹氏による非常戒厳の宣布について、「特段の、かつ重大な関心を持って注視している」と述べた。
また、韓国にいる日本人の被害情報はないとしつつ、「安全に万全を期す」と強調した。
(英語記事 South Korea President Yoon Suk Yeol faces impeachment after attempt to impose martial law/South Korea opposition files motion to impeach Yoon)