アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が麻薬取締局(DEA)局長への指名を発表していた、フロリダ州ヒルズボロ郡のチャド・クロニスター保安官が3日、指名を辞退すると表明した。
トランプ氏が指名した高官候補の辞退は、クロニスター氏で2人目。同じくフロリダ州を地盤とするマット・ゲイツ元下院議員も、性的違法行為や違法薬物使用などの疑惑が取りざたされるなか、司法長官候補を辞退している。ゲイツ氏は違法行為を否定している。
クロニスター氏はXに声明を投稿。ヒルズボロ郡の住民のために「もっとしなくてはならないことがある」とした。
また、「ここ数日、非常に重要な責任の重さが身にしみてきて、私は謹んで指名を辞退しなければならないという結論に達した」と説明。
「指名と米国民からの多くの支持に心から感謝している。そして、ヒルズボロ郡の保安官として職務を継続することを楽しみにしている」とした。
クロニスター氏は30年以上地元の警察で働いてきたが、DEAが監督するような国際的な活動の経験はない。
DEAの捜査官らはクロニスター氏について、名前を聞いたこともなく、長官への指名が発表されたときは驚いたと、米紙ニューヨーク・タイムズに話した。
DEAは、規制薬物に関する薬事法と各種規制の執行を担っている。68カ国に計91の海外事務所がある。
保守派から反対の声
クロニスター氏の辞退は、トランプ氏による指名からわずか3日後に発表された。トランプ氏は指名にあたり、クロニスター氏が国境を守り、違法薬物の密輸を減らすだろうと、自身のソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルに投稿していた。
トランプ氏を支持する保守派は、クロニスター氏が新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした規則を施行してきたことを理由に、同氏の指名に反対している。
トランプ氏支持者の一部は、クロニスター氏が昨年、動画の中で自らのコミュニティーの「豊かな多様性」を自慢したり、保安官事務所として連邦移民当局と協力するのを拒むと述べたりしていることを問題視している。トランプ氏は、連邦移民当局の指示に従わない、地域の警察を批判している。
クロニスター氏の家族も、何かと目立っている。息子はナイフを使ったけんかが元で服役。後にそれを題材にしたラップソング「Slash Yo Face」をつくった。
妻は、トランプ氏への献金者でアメフトのサンフランシスコ・フォーティナイナーズ(49ers)の元オーナーでもある、エドワード・J・デバルトロ・ジュニア氏の娘だ。
この義父は、2020年にトランプ氏から大統領恩赦を受け、賄賂絡みの重罪をめぐって1998年に言い渡された有罪が帳消しになった。
(英語記事 Trump's pick to lead DEA withdraws saying he will remain a sheriff)