2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月30日

 また、それを一般化する例として、北朝鮮問題を挙げるならば、確かに、クリントン、ブッシュ、オバマを通じて過去20年間の失敗の型と同じと言う表現も当てはまるでしょう。

 しかし、一般化出来るのは、その辺りまでではないでしょうか。

 過去の例でも、アフガン、イラクとなると、それが失敗であったとしても、別の意味での失敗だったというべきでしょう。

 そして、当面の問題として、オースリンの批判がイラン問題に当てはまるかと言うと、今後の交渉の推移を見なければ、それは分からないでしょう。また、今回のイラン側の柔軟姿勢は、米国の対イラン制裁が功を奏したからだと言えれば、オースリンの一般化は必ずしも当てはまりません。

 ただ、あえて、オースリンが、米国の対外政策一般について、このような長期的戦略的な憂慮を示した真の理由を理解しようとするならば、中国の軍事力の増大、南シナ海などへの進出に対する、オバマ政権の反応の弱さ、戦略性の欠如、そして、かかる状況の中での米国の国防費の大幅削減と言う無神経さを、シリアの例を引いて、憂いた論文と理解することは出来るかもしれません。

 特に、米国議会による予算強制削減措置は、米国の軍事費、ひいては軍事力にも影響します。それならば、せめて外交で主導権を握り、戦略で勝負してほしいと願っているのでしょう。

 オースリンが考える戦略とは、国家利益に基づき目標を設定し、外交的・軍事的手段を駆使して、その目標を達成することと読み取れます。外交では、主導権を握ることが、その戦略を実行する上で重要です。それが出来ていない米国政権への苛立ちと叱咤激励の論文とも言えます。

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