2024年11月22日(金)

赤坂英一の野球丸

2018年9月5日

 今年のプロ野球ペナントレースもいよいよ大詰めだが、ここにきてCS(クライマックスシリーズ)廃止論が再燃している。とくに、セ・リーグは広島が貯金をほぼ独り占めして優勝は決まったも同然。2位以下のチームは貯金1~2がせいぜいで、下手をすると勝率5割を切ったチームが日本シリーズ出場権をかけてCSに出場する可能性もある。

(Thomas Northcut/Gettyimages)

 この現状を一刀両断したのが、辛口で知られる評論家・江本孟紀氏。「こんな状態では、CS進出条件の(セ・パ)両リーグ上位3球団には何の意味もありません。ボクの持論は、勝率5割以下のチームはCSを辞退すべき。5割以下の2球団には、罰金1000万円を支払って出場させるなどのペナルティを与えないと」(週刊ポスト2018年8月17・24日号)と痛烈に批判している。

 エモやんと言えば、阪神の投手だった現役時代、「ベンチがアホやから野球ができん!」と吠えて引退したことが伝説になっている(現実に口にした言葉は異なる)。あの〝名セリフ〟に倣えば、「2位以下が弱いからCSができん!」とでもいうところか。

 CS廃止論が表面化したのは今年が初めてではない。セ・リーグ3位のDeNAが1位の広島を破って日本シリーズに進出した昨年も、「こういうことが認められてもいいのか」とマスコミやファンの間で議論が沸騰した。88勝51敗4引き分け、貯金37でぶっちぎりの優勝を決めた広島に対し、3位のDeNAは73勝65敗5引き分けで、広島に14.5ゲームもの大差をつけられていたからだ(※昨年のCSをめぐる論議については2017年11月1日付記事『クライマックスシリーズを止められない理由』をご参照ください)。

 そうした背景もあり、今季は実際に戦っている2位以下のチーム関係者からも、「そろそろCSのあり方を見直すべきではないか」という疑問の声が聞かれる。現に、あるヤクルトの首脳陣はこう言っていた。

 「CSとは、リーグを代表して日本シリーズに出るチームを決める戦いでしょう。2位以下が2~3ゲーム差、あるいは5ゲーム差以内であれば、そういう戦いをやることにも意味がある。しかし、今年は広島に10ゲーム以上も突き放されて、勝率5割にも届かないかもしれない。そういうチームが日本シリーズに出る資格があるのか。評論家に言われなくても、実際に試合をしているわれわれだって、よくわかっていますよ」

 その一方で、最近はシーズンが後半に入ると早々に優勝を諦め、CS狙いでAクラスを確保しようとするチームも増えている。もちろん、当事者たちはそんなことは口にしないが、「実際に試合をしていると、ああ、このチームは優勝をあきらめたな、CS狙いに切り替えたな、とわかるんですよ」と言うのは、ほかならぬ広島のチーム関係者だ。

 「そういう思惑が一番はっきり現れるのは、先発投手の起用法です。シーズン前半までは〝表ローテ〟のエースや準エースをウチとの3連戦に先発させていたのに、途中からそういう力のある投手はほかのカードに回して、ウチには力の劣る〝裏ローテ〟の投手を投げさせるようになる。阪神やDeNAはそういう切り替えが早かった」


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