11月のサンクスギビングデー(感謝祭)が終わるとアメリカではクリスマスモードに入り、12月になるとさらに盛り上がる。テレビのコマーシャルではクリスマスソングが延々と流れ、一気にクリスマス気分が増幅される。それにあわせる形で、この国では大人になってもプレゼントを交換することが「お約束」になっており、老若男女を問わずプレゼント選びに精をだす。
それぞれが夫や妻、恋人や友人、親兄弟を思い出しながらプレゼントを選ぶが、受け取った側が不要なものだったり、気に入らなかったりする場合も多い。そうした問題を解決するため、同じ価値の他の商品かストア・クレジット(同じ値段の買い物ができるポイント)に替えられる「ギフトレシート」を発行するデパートなどが増えている。
店では買い物の時に商品が贈り物であることを伝えれば、通常の領収書とは別に「ギフトレシート」を発行してくれる。金額は載っていないが、買った店やバーコードなどが印刷されている。もらったプレゼントが気にいらない場合や不要な場合にはお店にギフトレシートをもってゆけば希望の品に交換できる仕組みだ。いかにもアメリカらしい合理的なシステムだ。全米小売業協会という団体の調べによると、今年は全体の約6割の人がプレゼントにギフトレシートを用意するとしており、過去最高を記録した。
2万円未満の手ごろでかわいい銃が売れる
日本ではこうした制度はあまり聞いたことがなく、あったとしても「人様の好意でいただいたものを他のものに替えるなどというのは失礼」との感覚がまだまだ強いだろう。だが、アメリカでは、デパートなどの小売サイドも、ギフトレシートで返品に来た客が追加代金を上乗せして別の高いものを買ってくれるかもしれないので損にはならず、逆に歓迎なのかもしれない。妻が知人へのプレゼントを購入した際にもやはりギフトレシートをもらってきていた。
今年のクリスマス商戦は比較的好調だといわれている中で、注目を集めているのが銃の販売だ。クリスマスのプレゼント用に護身用の銃の需要が増えており、今年は特に女性用の小型の銃が人気を集めている。
テレビ報道によると、ピンク色のハンドガンで、200ドル前後のものが売れているようで、女性が携帯電話を選ぶような感覚で銃を品定めする様子が放送されていた。また普通の護身用についても大手銃メーカーの300ドルから400ドルぐらいの価格帯の銃がよく売れているそうだ。
家族がそろって過ごすクリスマスの時期に、ツリーの下で銃のプレゼントを交換する風景はなかなか想像しにくい。だが、これもアメリカのひとつの現実だ。今年は女性下院議員がアリゾナ州の地元で遊説中に頭を打たれ、重体となったものの驚異的な回復をみせて議会に復帰。4年前に多数が死傷したバージニア工科大学で再び乱射事件が起こるなどアメリカの銃問題が依然深刻な中で、市民の間に銃が広がっている様子をみて複雑な気持ちになった。
ただ、心温まる話もある。