日本では昨年末から今年にかけて「伊達直人」を名乗る人物が児童福祉施設などにランドセルを贈る動きが大きく報道されたが、アメリカでもクリスマスを前に似たような動きが現れた。アメリカでは大手小売店などで「Layaway」(レイアウェイ)と呼ばれる商品の取り置きサービス(商品の頭金と手数料を最初に支払って、数ヶ月の間に残金を支払って商品を受け取るサービス)があるが、まったく知らない他人のレイアウェイの支払いを済ませてあげる動きが広がっているのだ。
本来自分が払わなくてはいけないのに見知らぬ誰かにお金を支払ってもらった人は、自分のものとして商品を持って帰ることができる。つまりは匿名の人からのプレゼントになる。最初は一部の州での動きだったが、マスコミで報道されると各地に同様の動きが広がった。
レイアウェイをする人は経済的に余裕のない人も多いことから、知らないうちに支払いが済んでいたらサンタからプレゼントをもらったような感じになるのだろう。まさに「アメリカ版伊達直人」を見たような気持ちになった。
24日のクリスマスイブから25日のクリスマス当日にかけて、街ではクリスマスの雰囲気が最高潮に達する。繁華街のショッピングセンターでは24日夜、最後のクリスマスプレゼントを買い求め、大急ぎでラッピングをしてもらうお客の姿がみられた。25日は大半のお店が休業するため、クリスマス当日にどうしてもプレゼントを贈りたい人は24日中に買うしかない。お店側もぎりぎりまで営業してお客の注文に応じる。
大統領から届くクリスマスメッセージ
テレビでは外国に駐留する部隊のメンバーがアメリカ国内の家族に向けてビデオメッセージなどを流していた。誰でも登録できるホワイトハウスのメールサービスからは、オバマ大統領とミシェル夫人からのビデオメッセージがメールで届き、国民にクリスマスのメッセージを送っていた。
メッセージの中では、国防を担っている軍隊の人たちに特に大きな感謝を伝えるとともに、国民全体には、恵まれない境遇にいる人や困っている人たちなどを支援し、分かち合う気持ちを持とうと呼びかけた。大統領も触れていた「Giving」(喜捨) や 「Share」(分かち合い) という言葉がこの国のこの季節を象徴していると感じた。
私たちはクリスマスイブにあわせて事前に予約していた「ボストンポップス」という地元オーケストラの演奏を聴きに行った。演目はもちろん全部クリスマス関連だ。おなじみのクリスマスソングやコーラスが披露され、雰囲気は最高に盛り上がる。子供から大人までそろってクリスマスの到来を喜び、サンタの存在を信じて、クリスマスソングを歌い楽しむ様子をみて、テレビの中の出来事だけでなく、身近なアメリカのクリスマスも感じることができた。
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