ブラジルの連邦警察は21日、2022年の大統領選挙で敗北したブラジルのジャイル・ボルソナロ前大統領について、選挙後にクーデターを企てた疑いがあるとする捜査報告書を裁判所に提出した。
ボルソナロ前大統領は選挙での敗北を認めず、選挙に不正があったと証拠を示さずに主張している。勝利したルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領の就任直前にアメリカに渡り、2023年3月に帰国した。
2023年1月には、選挙結果を認めない支持者らが、大統領府など国の中枢機関を襲撃した事件が発生。建物の一部は荒らされ、警察は暴徒1500人を逮捕した。
警察はこの事件について2年余りにわたり、前大統領がクーデターを扇動したかどうかを捜査していた。
警察は今回、ボルソナロ氏の副大統領候補だったウォルター・ブラガ・ネト氏を含む側近36人を、民主的な法治の暴力的廃止未遂、クーデター、犯罪組織の容疑で立件した。
これには、ボルソナロ氏の元情報部長のアレクサンドル・ラマゲム氏や、元閣僚のアンダーソン・トレス氏、アウグスト・ヘレノ氏が含まれる。
警察は声明で、捜査によって「2022年に、当時の共和国大統領の権力の維持を目的として、組織的に行動した犯罪組織の存在が明らかになった」と述べた。
警察は今回、37人の起訴を求める捜査報告書を裁判所に提出した。今後、ブラジルの最高検察官が起訴するかどうかを決定する。
ボルソナロ前大統領はXへの投稿で、警察の主張には法的手段で「闘う」と述べ、当局を「独創的」で「法律で定められていないことは何でもする」と非難した。
また、報告書の内容を見てから対応すると付け加えた。
「私は弁護士を待つ。これは間違いなく検事総長に送られる。闘いは検事総長のところで始まる」
前大統領は、2022年10月の選挙で使用された電子投票システムがハッキングや不正行為に脆弱(ぜいじゃく)であると虚偽の主張をしたことで、ブラジルの民主主義を損なったとして非難され、8年間、公職選挙に立候補することが禁じられている。
2026年の次期大統領選までにこの禁止令を覆そうとしていたボルソナロ氏の熱烈な支持者たちにとって、今回の起訴の要求は新たな打撃となった。
警察は今週初め、ルラ大統領を就任数日前に暗殺する計画を立てた容疑で5人を逮捕した。
また、ボルソナロ前大統領が在任中に新型コロナウイルスのワクチン接種カードを改ざんした疑惑や、サウジアラビアから政府に贈られた宝石を違法に売却する計画から利益を得ていた疑惑についても、捜査報告書をまとめている。
(英語記事 Brazil police formally accuse Bolsonaro of alleged coup plot)