中国とつながりのあるサイバー集団が、米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ前大統領と副大統領候補J・D・ヴァンス上院議員が使用していた携帯電話やネットワークに侵入しようとした可能性があることが明らかになった。複数の情報筋が25日、BBCがアメリカで提携する米CBSニュースに認めた。
情報筋によると、トランプ=ヴァンス陣営は、両候補が使用していた携帯電話が、大規模なサイバー攻撃の一部として、標的になっていた可能性があると警告されていた。
民主党の大統領候補カマラ・ハリス副大統領と副大統領候補ティム・ウォルズ・ミネソタ州知事の陣営関係者も標的にされたと、消息筋はBBCニュースに話した。
どれだけの情報が漏えいしたのかは明らかになっていない。
米司法省と米連邦捜査局(FBI)は、大統領選の候補者たちがサイバー攻撃の標的にされたのかどうかについてコメントを避けた。
FBIと米国土安全保障省のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は共同声明で、米政府が「中華人民共和国とつながりのあるアクターによる商業通信インフラへの不正アクセス」を捜査していると説明した。
「悪意ある活動」が確認された後、両機関は「影響を受けた企業に直ちに通知し、技術支援を提供し、ほかの潜在的被害者を支援するため、情報を迅速に共有した」という。捜査は継続中だという。
「米政府機関はこの脅威を積極的に軽減するために協力し、商業通信セクター全体のサイバー攻撃に対する防御を強化するために業界パートナーと連携している」
トランプ陣営はこのハッキング問題について、「トランプ大統領がホワイトハウスに復帰するのを阻止するため」に民主党の候補が働きかけたものだと、証拠を示さずに非難した。
捜査機関は現在、このハッキングを選挙選に影響を与えるための試みとしてではなく、スパイ行為として扱っていると、消息筋はCBSに語った。
米政府、外国の干渉を警告
アメリカの通信会社をめぐっては今月初め、ハッキングの標的になっていたことが明らかになった。
最初にこのニュースを報じた米紙ニューヨーク・タイムズによると、影響を受けた企業の一つはベライゾンで、ハッカーたちは同社を通じてトランプ候補とヴァンス候補のデータを狙ったとみられる。
ベライゾンの広報担当リッチ・ヤング氏は声明で、同社は「高度に洗練された国家レベルのアクターが、情報収集のために複数の米通信プロバイダーを標的にしていると報じられていることを認識している」と述べた。
ベライゾンは捜査機関を支援し、今後も問題が起きた場合に対処するため取り組んでいるという。
トランプ陣営は今年に入ってすでに、ハッキングの標的になっている。
イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)とつながりのあるイラン人3人は9月、大統領選に向けたキャンペーンの弱体化を図ったとして起訴された。
米政府機関や政府関係者は、米選挙を含む、外国による干渉の脅威を長らく警告してきた。
ジェイク・サリヴァン大統領補佐官(国家安全保障担当)は8月、「我々に敵対する勢力はアメリカの選挙のことを、我々の民主主義に影響を及ぼし、我々の民主主義に対する信頼を損ない、密かに自分たちに有利になるようにするためのものとみなしている」と述べた。「我々はそのように、はっきり認識している。これに抵抗するために我々は多くのことをしている」。
この問題は1月に議会で議論された。FBIのクリストファー・レイ長官は中国のハッカーたちがアメリカに「大混乱を引き起こし、実害をもたらす」準備をしていると警告していた。
(英語記事 Trump and Vance possible targets of China-backed cyber attack)