ワシントン・ポスト紙は9月23日付けで、中国が少子高齢化に向かっているにもかかわらず他国からの移民の受け入れという対応策を避けている、と指摘する、キース・リッチバーグ(プリンストン大学教授)による論説‘China is aging. Can it accept the clear solution?’を掲載している。概要は次の通り。
中国の支配者は、人口動態における時限爆弾が爆発しないようにあらゆる手立てをとっている。中国の人口は減少し、高齢化している。中国の合計特殊出生率は1.0。韓国や日本という最も少子化が進んでいる近隣国と同様のレベルであるが、両国との相違は、経済的に豊かになる前に急速に高齢化が進行していることである。
中国政府によるさまざまな取り組みは機能していない。中国の女性は多くの子どもを持とうとしていない。
出移民の増加もあり、中国は遠からず深刻な人手不足に直面することになる。先進技術によって補われる面もあろうが、「世界の工場」は労働力が不足し、介護者も納税者も不足する状況となろう。
出生率の低下と人手不足の問題に直面しているのは、東アジアだけではない。豊かな国の多くが同様の問題を抱えている。そうした中、いくつかの国は、移民という解決策に向かっている。中国はどうか。
中国において人口に占める移民の割合は1%に満たない。北東アジアにおいて、特に、中国においては、人種的に純粋な血統の維持の考えが強い。4年ほど前、中国の司法部は外国人の居留資格の取得を容易にする制度改正を提案したが、中国は「移民受け入れ国家ではない」など、ネット上で批判が上がった。
中国が外国人に門戸を開きそうもない別の理由もある。中国政府は、外国人は体制を転覆しようとしているスパイかもしれないと国民に教え込もうとしている。より多くの外国人を受け入れることは、完全な統制、結束、社会的な安定という中国政府にとっての至上命題を脅かす可能性があるからだ。