エコノミスト誌10月5日号の解説記事が、今年10月に創設75周年を迎えた中国共産党は、支配年月がソ連共産党のそれを超えたが、指導者の習近平は中国がソ連のように崩壊することを恐れている、と書いている。要旨は次の通り。
10月1日に中国共産党は創設75周年を迎え様々な記念行事が行われているが、習近平は中国共産党の支配がこの先どれだけ続くのか心配している。1991年にソ連が崩壊した時、ソ連共産党は74年間権力の座にあったが、中国共産党は今やソ連が支配した年月を超えた。
中国にとってここ数年は厳しかった。まず2022年に習の「ゼロコロナ」政策の突如廃止とそれに伴う混乱があり、それ以降、経済復興の足取りは弱く、成長の回復を狙って派手な景気刺激策がとられた。そうした中、ソ連崩壊を思い出させるメッセージが演説、メディア、党大会で現われるようになった。
習は22年の5年毎の党大会で、ソ連崩壊は中国エリート層の間でいまだに不安を引き起こしていると示唆、「我々は常に警戒を怠ってはならず」、「中国共産党のような大きな党が直面する特別な課題に覚悟して取り組むことで人々の支持を維持し、長期的な政権党としての立場を強固にしなければならない」と述べた。
「特別な課題」は23年1月に党中央委員会に対して彼が行った機密の演説の主題であり、内容の一部は今年3月に出版された。「党が大きくなると、ある者は派閥を作ったり、党の団結と戦闘力を弱めるような行動をとる可能性がある」、「要塞が最も簡単に崩れるのは内部からだ。我々を敗北させ得るのは我々だけだ」と彼は言う。
90年代以降、中国はソ連崩壊に関する膨大な量の文書を出してきたが、強調される部分は習近平の下で変化している。鄧小平の支持者たちは、ソ連の運命を、鄧小平の経済改革をマルクス主義への裏切りと見る党イデオローグに対する反撃の手段として使った。彼らは、ドグマティズムがソ連経済を破綻させて国民の不満を煽り、国の崩壊を早めたと主張する。