2024年12月7日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年10月23日

 記事が指摘するように、習近平自身が、組織を厳格に管理し、党員を献身的に尽力させなければ、ソ連の轍を踏むという危機感を持っている可能性は排除しないが、客観的に見て経済が崩壊の瀬戸際まで行かない限り、共産党統治が傾くとも思えない。なぜなら「共産党の統治の継続」こそが、党内の唯一のコンセンサスであり、そうなる前に党内で是正の力が働くからだ。

習近平路線の1つの限界

 習近平が行っているイデオロギーや紀律的引き締めは、共産党のガバナンスの体質から来るものであり、引き締めと緩和の関係は実に難しい。引き締めすぎれば組織の自発性は消え、緩和しすぎれば腐敗や「上に政策あれば下に対策あり」が起こる。

 ソ連崩壊直前はいざ知らず、80年代半ばまでソ連は極めて厳格に管理された党と社会であり、現在の中国など足下にも及ばない。習近平による組織管理と精神教育の強化は、すべてを党が指導することを国政の中心に据えた結果、その実施部隊である党幹部と党員があまりにふがいないというので進めている可能性の方が高い。

 しかし現在、党官僚に要求されているスタンダードは高すぎる。客観的に見て、それに合格する人は多くはないであろう。

 習近平路線のかかえる1つの限界でもある。引き締めと緩和の間を行き来しながら何とか対処していくしかない、というのが現実だろう。

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