2024年9月19日付フィナンシャル・タイムズ紙で、同紙のキャスリン・ヒル特派員が、中国の軍事活動の活発化が、平時から台湾に対する戦争への移行を見極めることを難しくしている、とする解説記事を書いている。
台湾の顧立雄・国防部長(国防大臣)は、中国の軍事活動の活発化は台湾への攻撃の前兆を見極めることを難しくするだろうと警告した。
顧氏は、台湾は「突発的な有事」に対応する能力をテストする必要があり、有事に対する台湾の反応時間は「我々が過去に想定していたほど長くはない」と述べ、中国の軍事活動の規模はますます大きくなり、訓練から大規模な演習へ、演習から戦争へと移行するタイミングを見極めるのが難しくなっている」と語った。
彼の発言は、中国が戦争の閾値以下で軍事的動きを徐々に拡大していることが台湾の防衛にもたらす課題を示している。
人民解放軍は、5月に頼清徳総統が就任して以来、台湾近辺のパトロールや訓練をかつてないレベルに強化している。今年、台湾の防空識別圏への中国軍の侵入は2076回を記録した。9月18日早朝には、中国の空母群は台湾の北端付近の海域を通過した後、日本最南端の2つの島の間の狭い海峡を通過し、初めて日本の接続水域に侵入した。
9月上旬、人民解放軍は台湾の対岸において、最大規模の水陸両用上陸訓練を実施した。これは台湾侵攻のための訓練と見なされている毎年恒例の訓練である。
中国はまた、沿岸警備隊、海洋調査船、海上保安船などの非軍事的な公船の台湾周辺海域への配備を増やしている。これらの船舶により、潜水艦作戦のための海洋データを収集し、封鎖に使用できる手段をシミュレートするための任務を遂行しているらしい。
台湾は、ドナルド・トランプが大統領選で勝利した場合に米国が台湾防衛支援を弱めるのではないかとの懸念の中、防衛強化の圧力を受けている。台湾関係法の下、米国は、台湾の将来を非平和的手段で決定するいかなる努力も、米国にとり重大な懸念であるとみなしている。